兵庫県加西市の五百羅漢
今日は文化財の仕事で。紅葉がきれいな加西市北条の羅漢寺を訪問しました。
ここにはたくさんの羅漢仏が並べられており、五百羅漢と呼ばれています。正確には四百数十体らしいですが。
石仏の作られた時代は1600年代初頭の慶長年間だと考えられていますが、誰が、何のために作ったのか、わかっていないことが多いのです。
「親がみたけりゃ北条の西の五百羅漢の堂に御座れ」
と言われているように、ここにはいろいろな顔があり、そのうち一つは誰かに似た顔があるんじゃないかと思わせてくれます。
じっくり一つ一つ見ていたら飽きません。
実は五百羅漢と呼ばれるところは全国でいくつもあり、加西市の五百羅漢は決して立派なものではありません。どちらかというと稚拙なものが多いような気がします。しかしその素朴さが、何とも言えない味わいを伝えてくれます。
五百羅漢を作る岩石
さて、その羅漢さんを作っている石を見ます
スケールを付けるのを忘れてしまいましたが
左は粒が粗く、小さな泥岩片(黒色)や軽石片(白色)が見られます。これらの岩片は丸みがあって、水流があったことを物語っています。岩石名では凝灰質砂岩と言えるような岩石です。
右側は細粒の凝灰岩で、粒がよくわかりませんが水平方向に筋が見られ、地層を作っていることがわかります。
石材の産地
その産地と考えられるところは近くの産地にありました。
採石し加工途中の岩石があり、そのなかには矢の跡がある岩石も見られます。
細粒凝灰岩があり、右側の写真のような地層の面が見られます
このような特徴は羅漢物と同じです。
そして、厚みのある平板として割れやすい性質は、平板な羅漢物と一致します。
この地域の岩石は高室石と呼ばれて、古墳時代から採石されています。
手ごろな大きさに割れ、細粒で均質な岩石は仏様の顔などの、繊細な細工をするのに都合が良かったのだろうと考えられます。
これだけたくさんの石造物があったら、一つぐらいよそからの岩石があっても良いと思いますが、すべて同じ岩石ということは、ある特定の磁気に集中して作られたのだと思いますが、とても一人ではできませんね。