日本低迷の原因は実は潜在意識下の自信過剰。 | このままでは日本は危ない

日本低迷の原因は実は潜在意識下の自信過剰。

日本経済が低迷して元気がない、

今一つ、世界ではパッとしない原因はなんだろうか。

 

アベノミクスで政府が成長戦略を煽るものの

笛吹けど踊らずで、今の時代は経済界よりも

政治のほうが積極的だ。

 

失われた20年などと言われているが、

その言葉の裏には、いつかは復活すると思っている

節が伺える。

 

しかし、残念ながらこの先、失われる年月はずっと続き

永遠に失われた年月となる。

そのことは内心、誰しもが感じているところだと思う。

 

人口減少などの統計的な現象は

今後の日本経済の低迷、凋落傾向は容易に想像がつくが、

 

それは、今後、10年、20年後のことであり、

今の低迷、元気のなさの説明がつきにくい。

 

そもそも、近代国家が始まってこの150年

我が国の失敗が始まった最初の事件は太平洋戦争の敗戦である。

 

そしてバブル崩壊。

 

戦後、高度経済成長が始まって

経済の我が世の春を謳歌したが

バブル崩壊によって再度低迷が始まった。

 

思えば、太平洋戦争に突入したのは誰もが知る通り

陸軍軍部が暴走して引き起こした戦争であると

単純に言えばそういうことであるが、

 

では、なぜ、陸軍は暴走したのだろうか。

 

それに対し、

我々は理由など突き詰めて十分反省したのだろうか。

 

そもそも、

その暴走の遠因は日露戦争の勝利にありそうだ。

 

なぜ、日露戦争に勝利したかというと、

決して、日本とロシアの国力が互角だったからではない。

明らかに日本のほうが国力は弱かった。

 

日本海海戦において、

バルチック艦隊をからくも全滅せしめたことを奇禍として

日本政府は即座にポーツマス条約の

締結に持ち込み戦争終結に動いた。

 

もし、これが長引けば、

日本はロシアに巻き返されて

完全に叩きのめされ

東欧諸国のようにソ連の一部になっていたかもしれない。

 

そういう意味では当時の日本人の慧眼に感謝するしかないが、

 

問題はその後、なぜ勝ったかを分析せず、

学ぼうとしなかったことだろう。

 

特に陸軍は日露戦争では大変苦戦したにも関わらず

運よくロシアを後退せしめたものの、

決して大勝したわけではない。

 

そのことを当時の陸軍もよくわかっていた。

 

しかし、その後、

陸軍は士官学校で精神訓など日本勝利を教え込み

その結果、傲慢となり、自信過剰、夜郎自大となり

国を率いるエリートたちが国を動かせる力を得て

昭和の暴走に突き進む。

 

すなわち日本国家が変質したきっかけは

日露戦争の勝利からである。

 

まだ明治の政府、海軍、陸軍はまだ謙虚であり

海外から学ぶ姿勢があり

明治維新からさほど立っていない時期でもあり、

自分たちの力量を理解していた。

 

また、彼らは国際感覚に敏感であり、

海外から学ぼうとする意欲も十分にあった。

今よりもメンタル的にグローバル化していたといえよう。

 

特に海軍は国際感覚が豊かで

イギリス海軍から学んだスマートさを標ぼうし

十分に自分たち力量と海外との差の分析をしっかり行っていた。

 

ところが、陸軍は国際感覚を無視し

その結果、満州事変を引き起こしたうえに

それが中国全土に拡大する結果となり、

 

そのため英米との軋轢を生じ

太平洋戦争に突入するという暴挙にでたことは

後世の我々が知るところである。

 

では、今の時代であるが、

 

ジャパンアズナンバーワンなどと

おだてられていたのは1980年代。

 

日本製品は最高だなどと自負していたのもつかの間、

その後、真っ逆さまに転落をはじめ

中国にはGDPの座を奪われるはめとなり、

 

自信を失ったかに見えるが、それも表面的。

 

(自分の胸に手を当てて考えてみよう。傲慢さがないかどうかを。

自分や自社は中国人や中国企業に本当に劣ると思っていますか。)

 

実は、日本人は中国や韓国の躍進の理由さえからも

学んでいないのだ。

 

その結果、

有名な大企業が軒並み不祥事や低迷でニュースを

にぎわすようになった。

シャープはいまや台湾企業だ。

 

そして今では、

発想転換したサービスやシステム製品などで

世界をリードする日本製品は皆無で

完成品にいたっても世界市場は

中国や韓国製品に市場を席捲されている

有様である。

 

唯一、強味を発揮しているのは部品関係のみで

すでに日本は世界市場の部品屋に堕してしまっている。

 

しかし、これも早晩、どこかの国に座を奪われるだろう。

 

なぜ、そう思うかを説明しよう。

 

一言でいうと、

経済界の人物たち、大企業、中小企業

いずれもが金太郎飴的に

同じ顔、同じ表情で、同じ考え方、同じ意見で

とにかく人間的な迫力と魅力を感じない。

 

ひとつ例を挙げよう。

 

次の市場はインドであるといわれているが

私はインドにいて非常に痛感するのは、

このインドで日本製品はほとんど通用していない。

 

自動車のスズキが唯一気を吐いているくらいで

過去と比較して世界で通用していた

かつての日本製品は非常に影が薄い。

 

ところが、幸いにというか、

ここのインド人たちは

過去の栄光であるジャパンアズナンバーワン時代の日本の

イメージをまだ引きづっていてもらっているおかげで

かろうじて日本ブランドという目に見えない名前だけが

通用するという程度だ。

 

そのうち彼らも日本国内の実態を知るにつけ

メッキがはがれ見向きもしなくなるだろうと本当に

心配している。

 

こんな状況であるにも関わらず

いろいろな日本企業の人と話をしていると、

まだまだ彼らの内心に傲慢さと自信過剰の片りんが伺える。

 

彼ら現役ビジネスパーソンの中核は40代、50代であり、

あるいは中小企業の二世経営者であるが、

この世代は過去の、または先輩たちから聞かされた

成功体験が身体に染みついている。

 

その成功体験を潜在意識下に引きづっているので

それがふとした瞬間に

いろいろな場面で表面化するのだ。

 

これは日本企業全体の

集合的無意識といってもよいだろう。

 

例外なくほぼ全員である。

 

うちの製品は品質が高いのにどうして売れないんだろうと

皆が異口同音に言う。

 

品質が高くても価格が高ければ売れないのは

ロジックとして誰もが知っている。

 

しかし、品質と価格は相互依存であり、

適正な品質と価格をどう折り合いをつけて製品化するか

だけの話なのに、それをやろうとしない。

 

プライドが許さないのか最適な品質に下げようという

ことを選択肢のなかから完全に外している。

 

製品とは品質が高ければよいというものではない。

 

モノには適正品質というものがある。

 

つまり、日露戦争の勝利と同じように

80年代のジャパンアズナンバーワンの時代から

なにも学んでいないということだ。

 

謙虚さの微塵も感じないのは特に成功体験のある

中小企業の経営者がそうだ。

 

苦労したはずの一世創業者のDNAとマインドは

二世では消失しているのか

高度経済成長時代の甘やかされた環境で育ったためか、

今の時代の不可測事態に柔軟に対応できず

社会、世界の変化のほうが早く激しいので右往左往するばかりである。

 

 

さらにまずいのは、彼らの心の中に国際感覚が欠如しているという点。

 

世界の動きを学んでおらず、

ましてや、インドでなにが起こっているかなど

なにも理解していないし、

メディアの伝える情報のみを鵜呑みにしている。

 

だから何か起こると

予想外、想定外などと他人事のように言っている。

 

大企業の駐在員にしても同様だ。

彼らの多くは2,3年の駐在を

大過なく終えればよいのでなにもしようとしない。

 

駐在期間中に

成功しようとするのではなく、

失敗だけはしないようにする。

つまりチャレンジはしないのである。

 

こんな状況だからインドに来ても

うまくいくはずがなかろう。

 

つまり、今の日本企業は過去の陸軍と同じで

成功からは全く学ぶことをせず、

過去の成功体験にしがみつき

そのうえ、真の意味での国際感覚が欠如しているので

国際経済戦争に負けるのである。

 

このままでは、次の5年後、10年後は推して知るべしである。

 

 

 

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