みなさまこんにちは
まつおです
さてさて まつおは前回「世界遺産という制度はどのようにできたか」
ご紹介いたしました。
すると
なんだかわりと好評で 「いったよ~」とか「切れ目あったよ~
」等々の
感想をいただきました
ありがとうございます
その中で、「でも結局世界遺産って何でもなれるんでしょ?」という
感想をいただきました
たしかに、世界遺産ってたくさんあって、何でもなれるように
思ってしまいますよね・・・
しかし世界遺産になるのには、いくつかの基準をクリアしなければなりません。
本日は、その中でも、とくに重要と思われる基準を(あくまで個人的に・・・笑)
いくつかご紹介いたします
「顕著で普遍的な価値があること」
「・・・は?」って感じかもしれませんが、読んで字のごとくです。そのままです。
つまり、「全時代、全世界に通じる価値があること」です。
英語では、Outstanding Universal Valueといって、
関係者のうちでは「OUV」といっています
世界遺産になるのに、おそらく最も重要な基準です。
日本の中でどんなに価値があっても、
それが国際社会の中で価値があるものと認められなければ、
世界遺産にはなれないのです・・・
たとえば、平泉。
みなさま「中尊寺金色堂
」はご存知でしょうか??
この平泉は、2008年に世界遺産委員会(世界遺産を選定する国際会議)での
世界遺産登録を目指したのですが、
結局、平泉の価値として挙げられていた「浄土思想」というものが
国際社会では理解してもらえず、残念ながら登録にはいたりませんでした。
日本人特有の思想を伝えるのは、難しいのですね・・・
一方で、白川郷。
この雪深い農村が世界遺産ということはご存知でしょうか?
(写真は、夏に行ったものなので雪はつもってませんが・・・汗)
この農家の建築は、「合掌造り」と呼ばれるもので、
茅葺き屋根の建築形態は、国内でも類をみない貴重なものです。
でも、それだけではありません。
この白川郷には、茅葺き屋根の葺き替えの際等に
隣家同士が手伝いあうという「結(ゆい)
」という仕組みがありました。
茅葺きを行うのには、400人が必要だそうで、とてもひとつの家の屋根を
ひとつの家族で行えるものではありませんので、そういった協働形態ができたのですね。
この「結」という仕組みが、非常に日本人特有で価値が高いものだと
世界遺産委員会に認められた・・・というのも、世界遺産登録の
きっかけだったそうです。
「ホンモノ」であること
これは、「真正性(authenticity)」という概念です。
世界遺産は、「ホンモノ」でなくてはならないのです。
簡単に言うと、材料などが建設当時からあるものか?ということですね。
復元したものは、世界遺産としては認められません。
例えば、沖縄にも世界遺産があります。
「琉球王国のグスク及び関連遺産」です。
このうち、よく写真等でみる「首里城」は、
「世界遺産」として紹介されていることも多々ありますが、
正確にいうと、世界遺産になっているのは、「首里城跡」で、
あの絢爛な建物は世界遺産ではありません。
なぜなら、あの建物は、復元したもので、比較的新しいものだからです。
遺跡(地下遺構)が世界遺産になっているのです。
日本の場合、木造建築が主で、当初の材木を残すのは
石造とくらべて非常に難しいので、これは大変な条件なのです・・・。
(いまは、木造建築についても割と理解されつつあります)
国内の法律できちんと守られていること
「世界遺産」になろうとしているものは、
まずは「国内の法律できちんと守られていますよ!」ということを
示さなければなりません。
まあ・・・極端にいってしまうと、世界で活躍したいんなら
国内での実績を積んでからね!ということでしょうか・・・
文化遺産の場合、日本でいうと、「文化財保護法」
です。
例えば、広島の2つの世界遺産のうち、原爆ドームは、
もともと文化財保護法では保護されていませんでした。
なぜなら、文化財保護法では、その頃大正時代以降のものに関しては
文化財として認められません、という規定があったからです。
しかし、原爆ドームを世界遺産にするにあたって、
「国内法」でまず守らねば!ということになり、
文化財保護法の規定を変更させて、文化財として指定した後、
世界遺産になったのです。
(これには、市民団体の方の並々ならぬ努力があったと思います・・・)
いかがでしょうか?!
なんでも世界遺産になれる、というわけでは、決してないのです!
長くなっちゃいましたが・・・
あ、あと、よく誤解されることがあるのですが、
世界遺産になったからといってユネスコからお金がもらえるわけではありません・・
あくまで、「世界遺産」というネームバリューが、もらえるだけなんです。
ではでは 次回おたのしみに