位置 青森県北津軽郡中泊町今泉唐崎(41.0354 140.4069)

 

〇ここで見られる地学素材

◆珪藻質泥岩,塩越層,珪藻土

〇何がおもしろいのですか?

◆カマドやコンロの材料になった泥岩が,昔の深い日本海の底にたまった泥なのがおもしろい.

〇ここで見られる岩石は何ですか?

岩石の名前てしては泥は堆積して固まった泥岩という岩石です.顕微鏡できると珪藻という植物プランクトンを多く含むので珪藻質泥岩ともよばれます.工業用の材料として使われるときは珪藻土という名前もあります.地層名としては新第三紀中新世の塩越層になります.日本列島が大陸から離れて,最も深くなった少し後の時代に堆積した泥だと考えらえています.最も深い時代は海底に酸素が少なかったのですが,少しずつ増えてきた時代にの泥からできています.

〇どうして海水中の酸素が増えたことがわかるのですか?

◆海底近くの海水中の酸素の量が多く,そのため地層の縞模様を壊す動物が棲めたと考えられているからです.ここで見られる塩越層は地層に縞模様(層理)がほとんど見られない塊状無層理の地層です.塩越層の層理は,地層ができた時にはあったのですが,泥の中に棲む多くの小生物が泥をかき乱してなくしたのだと考えられています.

この地層の下には硬質頁岩からなる小泊層という地層があります.小泊層は層理が明瞭なのは,海底付近の海水中に酸素が少なくて,層理をかき乱す小生物が泥の中にいなかったからだと考えられています.

〇珪藻質泥岩とは何ですか.

◆珪藻という生物の遺骸がたくさん含まれている泥岩です.珪藻は植物プランクトンで,珪酸の殻をもっているのが特徴です.植物プランクトンなので海面に近い浅いところに棲んでいます.珪藻が死ぬと珪質の殻は海底に沈んで泥と一緒に堆積します.珪藻が繫栄したので海底にはたくさんの珪藻の殻が堆積したと思われます.

〇ここの岩石は何かに使われていたのですか

◆昔,珪藻土が採掘されていて,製菓用のカマドやコンロの材料として使われていたそうです.現在は採掘されていません.<対馬・上村(1959)より>

 

写真1 露頭のほぼすべてが珪藻質泥岩からなる塩越層.地層の縞模様(層理)ないのは,海底に棲む小動物が泥をかき乱したからだと考えられている.

 

写真2 写真右上に層理の発達した部分がある.一時海底の小動物がいなくなったのかもしれない.

 

写真3 層理のみられる泥岩の上には泥岩のブロックの層が載っている.このブロックの部分は地層をつくっているのか人為的に崩された部分かははっきりしない.

 

写真4 珪藻質泥岩の拡大.泥岩の中にほとんど構造が見られない.中央の褐色の細長いものは,植物の化石かもしれない.

 

写真5 植物の化石にもみえる褐色の細長いものの拡大.化石なのか不明.

 

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