位置 青森県東津軽郡平内町大字東滝(40.9678,140.9706)

 

<ここで見られる地学素材>

◆チャート,付加体,海食洞

〇何がすごいの?

◆中生代三畳紀(約2億5190万年前~約2億130万年前)に深海底に堆積した地層を見れる.

〇チャートとはどんな岩石ですか?

◆まず硬いことがチャートの特徴です.昔は火打石として使われたものもありましたが,立石のチャートは硬いのですがもろくて崩れやすいので火打石には向かないものが多いようです.チャートが硬いのは主に石英からできているからです.放散虫などが持っている石英質の殻が深さ数千mくらいの深海底に堆積したものが地層(チャート)になったものです.

〇どうして三畳紀の地層だとわかるのですか?

◆立石の北の弁慶内にある石灰岩から三畳紀のコノドントという化石が見つかったことでわかりました.コノドントはカンブリア紀から三畳紀までの示準化石(時代を知ることができる化石)です.

〇ここでチャートがみられることで何がわかりますか?

◆立石海岸のチャートは,その北側の弁慶内というところにある石灰岩とともに海洋プレートの表面にあった岩石だったと思われます.海溝でチャートをのせた海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込むときに大陸プレートの下に付加されてできた付加体の一部が,立石海岸で見えているのだと思われます.

〇海食洞とは何ですか?

◆波の浸食によって海岸につくられた洞穴のことです.海食洞ができるときには,崖の一部に浸食に弱い部分があると,浸食はその部分を中心に進み,深い洞穴になるといわれています.

〇ちょっとした疑問(その1).

◆立石のチャートは層理(地層の縞模様)の見えませんが,立石の下の海岸のチャートは平行層理が見えます.層状チャートとよぶこともあります.この2つのチャートは全く同じものといえるのでしょうか.少し起源のちがうチャートなのではないでしょうか.

〇ちょっとした疑問(その2).

◆陸奥湾のような波の静かな海岸でも,波の力で浸食が起こるのでしょうか?.また,立石の洞穴はチャートというとても固い岩石を侵食しています.また,この洞穴は海岸と平行方向に発達しているように見えます.ということは,波がチャートに正面からあたる部分ではなく少し横のほうにあたっているように見えます.波の浸食力以外の作用があったような気がします.

〇立石にはどんな由来がありますか?

◆立石の根元の洞穴には縄文遺跡があったといわれています.ですから縄文人が住んでいた可能性があります.また,この洞穴が青森市王余魚沢(かれいざわ)とつながっているという言い伝えがあります.

 

写真1.立石 高さは30mほどでチャートでできています.岩の根元に海食洞あります.

 

写真2.立石の根元の海食洞.縄文時代の遺跡があったといわれています.また,青森市王余魚沢とつながっているという言い伝えがあるそうです.

 

写真3.立石のチャートは,平行な薄い層が何枚も重なっています.それが折れ曲がった褶曲構造をしています.折れ曲がったのは,おそらく海溝で大陸プレートに付加した時ではないでしょうか.

 

写真4.ここのチャートは少しだけ褶曲しています.写真3と同様に海溝で大陸プレートの下に沈み込むときに褶曲したと思われます.立石のチャートは層理面の見えない塊状のチャートですが,海岸のチャートは平行層理が見えます.2つは少し起源が違うのかもしれません.