位置 青森県東津軽郡今別町大字大泊   (   )

 

 

<ここで見られる地学素材>

 ハイアロクラスタイト 水中で噴火した溶岩 凝灰角礫岩 安山岩 柱状節理

〇何がすごいの?

◆火山が噴火してる様子をすぐそばで観察することは,多くの危険を伴い簡単ではありません.さらに,水中の火山噴火のようすは陸上以上に困難です.そのような水中の火山噴火のようすの一場面を見ることができるのがすごい.

〇いつ頃活動した溶岩ですか?

◆この溶岩は,年代測定がされていて約1110万年前(11.19±1.9Ma)とされています.地質年代では新生代新第三紀中新世(2303~530.2万年前)の中頃になると思われます.

〇高野崎ではどんな岩石がみられますか.?

◆高野崎でみられる岩石は,高温で液体の溶岩が冷え固まった「火成岩」の中の,地表や地表近くで比較的短い時間で冷え固まった「火山岩」の中の,二酸化ケイ素の量の分類では「安山岩」という岩石になります.

灯台に近い部分ではが柱状節理のみられる安山岩の溶岩がみられます,2つの赤い橋のかかっている部分では,溶岩が砕けて角礫になっているのがみられます.この角礫も安山岩です.

〇柱状節理とは何ですか?

◆高温で液体の溶岩が冷え固まるときに,収縮して体積が小さくなります.その時に岩石の中にすき間(節理)ができます.この節理によって,岩石が柱のような形になったものを柱状節理といいます.青森県の火成岩にはあちこちで見られます.これがみられると火成岩だと推定できます.

〇赤い橋のところの角礫はどのようにしてできたのですか?

◆十部に冷えていない状態の溶岩の表面が水中で急冷されると,このようにボロボロの角礫状になると考えられています.陸上で大気によって冷やされても角礫状になりますが,水中では急冷されるために特有の構造ができます.その一つが岩石表面が急冷されガラス質になることです.このような水中で急冷されてできた構造を持つ溶岩をハイアロクラスタイトといいます.高野崎のハイアロクラスタイトは,角礫の表面のガラス層はよく確認できませんが,角礫と角礫の間に黄褐色の粘土っぽい部分がみられます.この部分はもともとのガラス層が,その後変質した部分だと考えられます.

 

 

写真1.高野崎の全体のようす,先端の橋から海側がハイアロクラスタイト部,橋と橋の間が溶岩の先端部で水冷破砕された様子がよく見られない部分,手前の柱状節理のみられる部分が安山岩溶岩,その下の白っぽい岩石は太田凝灰岩.

 

写真2.安山岩溶岩の先端部.中央の板状節理はどうしてできたのだろう?.この部分は水冷破砕された様子を確認できない.

 

写真3.安山岩溶岩の先端部.写真中央部の一部が激しく破砕されてまわりよりも細かくなっている.溶岩にできた節理に沿って急冷されたためにまわりよりも細かくなったと思われる.円礫が少なからずみられるのはどうしてだろう?

 

写真4.ハイアロクラスタイト部の全体のようす.先端部の釣り人のいる部分はあまり破砕されていない溶岩.

 

写真5.ハイアロクラスタイトの表面.黒っぽい岩石が安山岩溶岩が水冷破砕したもの,黄灰色の部分は,溶岩が水中で急冷してできたガラス由来の部分.玄武岩由来のこのようなものはパラゴナイトというが,安山岩由来でもそのようによばれるのだろうか?.礫は角礫は目立たず,円礫が多い.どうしてなのかは勉強中.

 

写真6.安山岩溶岩にみられる放射状に発達するパイプ状孔.パイプ状孔は溶岩内部からのガスの集積によってできると考えられている.

 

写真7.溶岩表面にできたひっかき傷(Corrgation).冷えて固まった表面が破れて,中から新しい溶岩が流れ出すときにできたひっかき傷と思われる.破れた溶岩表面の凹凸を反映していると考えられる.(写真中の矢印部分)ひっかき傷はほぼ平行に並んでいて,その方向が溶岩が流れた方向だと推定できる.

 

写真8.高野崎案内板.ハイアロクラスタイトの部分に2つの橋がかけられていて,手前が「潮騒橋」,奥が「渚橋」というらしい.

 

写真9.高野崎灯台.安山岩溶岩の安定した硬い地盤の上に建てられています.