位置  青森県東津軽郡今別町大字袰月(41.2275,140.5484)

<ここで見られる地学素材>

火炎構造 荷重痕 流紋岩質凝灰岩 断層(圧密断層)

〇何がすごいのですか?

◆十分に固まっていない水を多量に含んだ凝灰岩層に上から圧力が加わった時の地層の変化がわかるのがすごい.また,小さな断層も確認できるのがすごい.

〇どうしてできたのですか?

◆火炎構造は泥層の上に砂層が堆積した時に多く見られます.ここでは明灰色の細粒火山灰層の上に赤褐色の砂質凝灰岩層があります.そして,水を多量に含んだ固まっていない地層に荷重が加わった時にできるとされています.水を含んだ砂や泥に荷重が加わると地層内の水が脱水・移動し,砂や泥が流動化して火炎構造ができるといわれています.

〇このことから何がわかりますか?

◆地層が十分に固まっていなかったことがわかります.この地層の上にはデイサイト溶岩があるので,溶岩による荷重が火炎構造をつくる引き金になった可能性があります.写真1にみられる小さな断層も溶岩流出によってできた可能性があり,そうであれば圧密断層といいます.しかし,この断層が溶岩による荷重でできたのかどうかはこの露頭だけからは判断が難しいです.

〇どうして火炎構造というのですか?

◆上位の砂質凝灰岩が垂れ下がって,そのすき間に細粒火山灰が入り込んで,断面を見ると細粒火山灰がろうそくの炎のように見えることから火炎構造とよばれます.

〇その他に何がわかりますか?

◆炎の方向が真上でなく先端が写真の左方向に曲がっています.これは,火炎構造ができた直後に上位の砂質凝灰岩が左方向に少しだけ流れたためだと考えられます.

※参考文献 層序学と堆積学の基礎:愛智出版,堆積物と堆積学:日本地質学会,地学事典:地学団体研究会

 

1.火炎構造と小さな断層 赤褐色の部分が砂質凝灰岩層で明灰色の部分が細粒火山灰層です.スケールの上下2つの層に火炎構造を確認できます.特にスケールの下の火炎構造が明瞭です.右下から左上にスケールの中央を通って小さな断層が見えます.変位は数㎝だと思われます.

 

2.上の写真(no.1)の中に火炎構造の先端がちぎれている部分が見えます.下の写真の矢印の部分です.この火炎構造の先端が左方向に流れています.

 

3.海岸に白く見えているのが凝灰岩層です.この凝灰岩層中に火炎構造がみられます.凝灰岩層の上の黒っぽい岩石はデイサイト溶岩です.柱状節理がはっきり見えます.