位置 青森県東津軽郡今別町大字山崎(41.2051,140.5197)

 

<ここで見られる地学素材>

軽石質凝灰岩(塩越層),礫層,砂層,段丘構成層,不整合,基底礫岩

〇何がすごいの?

◆不整合面のすぐ上の基底礫岩を観察できるのがすごい.基底礫岩の堆積環境を考えることができるかもしれない.

〇基底礫岩とは何?

◆不整合面のすぐ上にある礫岩のことです.それまで陸だった場所に海が侵入してきて地層を堆積するときに,一番初めに礫層を堆積すると考えられています.この礫層をこの露頭で見ることができます.

〇ここで見られる地層は,どうなっているの?

◆下の写真は今別町与茂内海岸でみられる地層です.大きく分けて3つの地層がみられます.最下部が軽石質凝灰岩,中間の赤褐色の部分が礫層,その上に砂層があります.礫層と砂層は海岸にできた段丘を構成する堆積物と思われます.この段丘ができたのは十数万年前だと考えられていて,礫層・砂層もその時代にできたと考えられます.軽石凝灰岩は数百万年前の堆積と考えられていて,ここではその間に堆積した地層を見ることができません.このように,2つの地層の間に大きな時間間隙があるとき,その2つの地層の関係を不整合といいます.

〇礫層の特徴はなに?

◆礫層はの礫が丸い円礫であること,礫と礫がくっついていること,よく見ると礫層が数枚あることが特徴です.

礫が丸いのは川で運ばれたときや海岸で波の力で動かされた時に丸くなることが多いようです.ここの礫がどちらなのかははっきり決めることは難しいようです.

礫と礫がくっついているのは,礫がひとつづつバラバラに運ばれたことを示しています.これは川の流れや海岸の礫の特徴です.

礫層がいくつか見られのは,礫が運ばれる環境が何回かあったことを示しています.その環境が川なのか海岸なのか河口なのかはこの露頭だけでは決定が難しいと思われます.

〇礫層が赤褐色なのはどうして?

◆おそらく礫層ができてから地下水が流れた時期があったのだと考えられます.現在は地下水が流れていませんが,かつて地下水が豊富な時期があったのでしょう.地下水に含まれていた鉄分が空気と触れることで酸化鉄になって礫や砂の表面についたことで赤褐色になったのだと思われます.礫層の下の軽石凝灰岩層は地下水を通しにくい難透水層なので礫層を地下水が流れたものと思われます.

 

 

 

 

軽石質火山灰(塩越層)とその上の礫層.よく見ると礫層が数枚見えます.