深浦町岩崎地区の森山海岸にガンガラ穴という名所があります.昔は観光船で訪れることができましたが,現在は観光船が運航していないので,簡単に訪れることのできないので「秘境」に分類されるのではないでしょうか.古い写真ですが紹介します.

 

位置 青森県西津軽郡深浦町大字松神(40.5570 139.9293)

 

〇どんな岩石でできていますか?

◆流紋岩溶岩です.新第三紀中新世の十二湖凝灰岩凝灰岩に貫入した流紋岩溶岩だとされています.年代測定(K-Ar法)では11.2±0.6Ma(約1120万年前)という結果が出ているようです.十二湖凝灰岩と同質の岩石なので,十二湖凝灰岩の活動と密接な関係(同じマグマ由来,もしかしたら同じ活動)があると考えれれています.

〇どんな穴ですか.

◆流紋岩の柱状節理が水平方向にできています.その中央部分にガンガラ穴が見えます.ガンガラ穴は柱状節理の中央部分が浸食されてできたと考えられます.この地域には,ガンガラ穴のほかにも,流紋岩にできた穴がいくつものあって名前のついているものもあります.ガンガラ穴は幅10ⅿ・奥行50mだといわれています.

〇どのようにできたのですか?

◆ガンガラ穴のように海岸にできた洞窟は,波の浸食によってできたと考えられています.このような洞窟を海食洞といいます.波の力だけで浸食されてできたように感じますが,岩石の中に弱い部分があって,そこに波の力などが作用して岩石を侵食して洞窟になったものです.ガンガラ穴も波の打ち寄せる方向とは違った方向に洞窟ができています.また,入り口の少し手前に岩があって入り口に打ち寄せる波を弱めています.波の力だけで浸食されるのであれば,一番上の写真の右側の柱状節理の部分から浸食されるのではないでしょうか.これは流紋岩の柱状節理の中心部分がまわりよりも少し弱かったので浸食されやすかったのだと考えられます.