広瀬川凝灰岩の噴出源と噴出年代がわかった

 

<位置>広瀬川評定川原 38.25、140.85

<何がすごいの?> 今まで謎だった噴出源がわかった

 

 

〇「広瀬川凝灰岩」って何?

◆仙台市中央を流れる広瀬川の川岸の崖に見られる白い凝灰岩層のことです。厚さは約8mで仙台という大都市の中心部で見られることから有名な地層です。この地層は低湿地などの陸上で堆積した向山層の中にあることから、広瀬川凝灰岩部層という呼び名もあります。

〇今回の研究は誰がどのようにやったの?

◆東北大総合学術博物館の高嶋礼詩准教授(地質学)や東北福祉大などのグループが、アパタイトという結晶を分析・調査しました。

〇いつ頃の地層なの?

◆今まで研究ではフィッショントラック法で350~530万年、それに珪藻化石や古地磁気を使って調べた結果を総合して考察して約350万年前と考えられていました。今回の研究では約370万年前のものだとわかりました。

〇噴出源はどこなのですか?

◆これまでは、仙台市の北にある七ツ森カルデラからの噴出物だと考えられていましたが、仙台市南部からの噴出だとわかりました。そこは新たに白石カルデラと名づけられました。これもアパタイトの分析で、円田盆地周辺の厚さ約20mの凝灰岩が広瀬川凝灰岩と同じものだとわかったことによります。

〇白石カルデラが噴火したときの仙台の様子はどうだったの?

◆まず、細かい火山灰が飛んできて降り積もりました。その後、高速道路の自動車並みの速さの火砕流が襲ってきました。火砕流は仙台市中心部まで到達し海までの到達し、低いところを埋めてしまいました。火砕流は数100度以上の高温で、地表のあらゆるものを焼き尽くしてしまったと考えられています。そのため、広瀬川凝灰岩の中には炭化した樹木が取り込まれているのが見られ、底には立った焼かれた樹木の幹や根がみられます。

 

 

<参考文献> 宮本毅ほか 仙台の大地の成り立ちを知る 地質学雑誌,119,27-46

<参考記事> 河北新報社 2020/08/10