青森県の火山の紹介をします。位置は下図を参考にして下さい。

 写真の山は「岩木山」という山で、青森県西部にある津軽平野の南西部に位置しています。標高は1625mで青森県の最高峰です。青森県津軽地方のほとんどの場所から見えるます。そのため、この地方の人々の心のよりどころとなっている山です。そのため古くから信仰の対象となってきました。津軽地方の学校の校歌に、多く登場する山です。  岩木山は見る方角によって、形がちがってみえるので、それぞれの地域に暮らす人々によって思い入れのある岩木山の姿があります。今日は岩木山の形について考えることにしよう。

 上の写真は、岩木山を北東側から見た様子です。この方向からの岩木山は、山頂部分に大きな2つの頂と少し平坦な部分の3つ頂が見えます。写真の中央部の最も高い頂は岩木山、左側を鳥海山、右側を岩鬼山とか巌鬼山(どちらも「がんきさん」とよむ)とよばれています。


 この岩木山の形は、何を物語っているのでしょうか。次の3つの項目に分けて考えてみたいと思います

①頂上部分の3つの頂はどうしてできたのか  3つの頂のうちで鳥海山と岩木山は、約3万年以降にできた溶岩ドームと考えられています。溶岩ドームをつくる岩石はマグマの粘りけが高く流れにくいデイサイトという岩石からつくられています。この岩石は、粘りけが高いので、地表に噴出してもほとんど流れずにドーム状の地形を作ります。一番右側の巌鬼山は溶岩ドームではありません。この部分は、溶岩ドームの土台になっている成層火山の一部と考えられています。ですから、現在の岩木山から、岩木山溶岩ドームと鳥海山溶岩ドームを取り除くと、円錐形の成層火山の姿になると思われます。

②中腹部分 山頂の溶岩ドームの下部の山体は、円錐形の成層火山からできています。このような形の火山は、溶岩ドームよりは粘り気が少なく流れやすい安山岩の溶岩からつくられたものです。このような火山は、山頂近くの火口から溶岩や火山灰などがふきだしてできたものです。ですから、火口近くには溶岩などが厚く積もるので高くなります。火口から離れるほど、溶岩や火山灰が少なくなりますから低くなります。このようにして火口を中心に円錐形の形をした火山である成層火山ができると考えられています。

③中腹部分の左右の傾きのちがい 上の写真の岩木山の中腹部分を見ると、左右の傾きに違いがあるのに気づきましたか。よく見ると、左の傾斜のほうが右よりも急傾斜になっています。これは、何を物語っているのでしょうか。岩木山の中腹部分は成層火山といって、円錐形になるので、まわりの傾斜はどこも同じようになるのが一般的です。ではどうして岩木山では片側が急傾斜になっているのでしょうか。このことに関しては、綺麗な円錐形の火山ができた後で、東側(写真では西側)が沈降したので、東側の斜面が西側によりも急になったという説があります。