枡形(ますがた)山と飯森(いいもり)山は、深浦町の驫木という集落から見ると、ポコポコと2つの山がそびえ立っていて、すぐに目につく特徴的な山です。これらの2つの山を含む地域は、広い意味では「白神山地」に含まれ、せまい地域では「枡形山山地」といいます。枡形山はこの山地の中で最も高く、標高は820mです。飯森山は、枡形山よりは少し低くて標高703mです。


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飯森山(左)と枡形山(右):深浦町驫木バイパスの橋から撮影、特徴的な形をしているので、この地域では会場からの目印にもなっている。


まず、2つの山の形を比べてみましょう。枡形山は、驫木集落から見ると、頂上が平らで、台形に近い形をしています。おそらく、昔の人たちは、お酒やお米を測る「桝(ます)」に似ていることにちなんで名前をつけたのではないでしょうか。飯森山は、円すい形をしています。これは、茶わんいっぱいの大盛りご飯に似ていることから名付けられたのではないでしょうか。
この2つの山を、理科的に考えて見たいと思います。右側の台形の枡形山は、この地域で最も隆起量が多いところです。簡単にいえば、地面が最も高くなったところということになります。ですから、枡形山は現在最も高い山になったのです。この山は、海底にたまった泥や砂、火山灰などからできています。このような岩石を、堆積岩(たいせきがん)といいます。枡形山の山頂が平坦な地形をしていることは、山頂に固い岩石が帽子のようにあって、まわりの柔らかい岩石が浸食されてなくなり、台形の形になったのではないでしょうか。
これに対して、飯森山は「デイサイト」という岩石でできています。これは、マグマが冷え固まってできた「火成岩(かせいがん)」という種類の岩石で、比較的固い岩石です。円すい形の形から考えて、地表を流れた溶岩ではなく、マグマの通り道でそのまま固まった部分なのではないでしょうか。この部分を火山の火道(かどう)といいます。飯森山は、昔の火山の火道の一部を見ているのではないでしょうか。


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飯森山:円錐形のきれいな形 昔の火山の火道のあとではないだろうか

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枡形山:台形の形 頂上にかたい岩石があったので、平坦頂上ができたのではないだろうか