Virchow転移がおこってから約一年経過した、2015年11月05日、今度は右肺上葉および気管前リンパ節に転移巣が発見された。約一年CRが維持されたので、「このまま治ってくれるのでは」という期待が強くなってきた頃だったので、ショックが大きかったのを覚えている。

 

今回も主治医はもちろん、友人の放射線科医にも相談した。肺の病巣は孤立巣なので問題ないが、リンパ節は照射と照射の谷間にあたる部分で、以前同じように谷間になってしまった時よりさらに状況は厳しく、今度こそ照射はかなり難しい、と言われてしまった。照射範囲が重なり組織のダメージが強ければ、過剰照射による重篤な合併症を起こす、ということだった。心臓や大動脈、肺、気管支、食道、等、大変重要な臓器が並んでいるところで、例えば、気管に穴が空いたりすればかなり致命的な合併症となってしまうわけである。

 

友人の顔が歪んだ。

家内がまた泣き顔になった。

 

限界ギリギリで陽子線を当てるか、サルベージ手術(Salvage: 難破船を救済するような難しい手術で、放射線をあてたボロボロの組織を手術するため、縫合不全や大量出血など様々な合併症のリスクが高い手術)をしてもらうか、腎障害を覚悟でFLEP療法を再度強化するか、難しい選択をしなければならなかった。

どれを選んでもかなり分の悪い賭けになる。

 

人生は難しいと思った。