FLEP療法をその後継続したが、その中で特にシスプラチンはFirst Lineの核となる薬でもあり、長い間使い続けてきた。とても良い薬だが、一番問題となる副作用に腎毒性がある。CR(完全奏功)を得て、喜んだのもつかの間、今度は腎機能が下がり始めた。eGFRという腎臓の働きをみる代表的な検査がある。もともと90以上あったが、抗がん剤治療をはじめて80前後となっていた。それが、このFLEPをはじめて3カ月ぐらいで50ぐらいまで落ちてきてしまった。

  また、5FUという抗がん剤もレシピの中にあったが、これも激しい副作用を起こした。口内炎がひどく、口の中から喉にかけて、ほとんどの粘膜が口内炎になってしまった感じである。口内炎はなったことのある方は分かると思うが、小さい病巣だけでも強い痛みを伴う。それが口腔内のほぼ全域で起こってしまい、食べるのはおろか、水を飲むのも痛くて呑み込めないような状態になってしまった。FLEP療法は強力なレシピであるが、その分副作用も強かった。CRとなったので、本当は続けたいところだったが、仕方ないので、主治医はエトポシド単剤の化学療法を継続することに変更してくださった。

  もとの状態や癌種から言って仕方ないことではあるが、なかなか簡単ではないと実感した。しかし、逆に言えば、あれだけの状態がCRになったのだから、贅沢は言えない。本当にありがたいことである。生きていられるだけでありがたい、とこの幸運に感謝した。