発病から8か月が経過した、2013年11月初旬陽子線照射が始まった。
まず肝臓に照射のための白金でできたマーカーを入れた。その後、12月いっぱいまでの約2か月弱、月曜から金曜の毎日、照射に通った。照射治療中は全く何も感じず、また、最初しばらくの間は何の副作用も起こってこなかったが、あとから照射部の皮膚が爛れてきた。その後半年ぐらい経過してから、照射部の肋骨が軟化し、ほぼ溶けた状態になってしまった。これは結構酷くて、しばらく照射部位、またそれ以外の胸郭全体が締め付けられるような痛みを感じるようになってしまった。ただ、これらの変化は照射後少なくとも数年すればよくなることは分かっていたので、あまり気にはならなかった。びっくりしたのは、照射後1年半ぐらいたった時に、血胸になってしまったことである。GWの最終日だったのだが、夜だんだんと呼吸が苦しくなり、半坐位でないといられない状態になってしまった。丁度そのころ職場を変えたため、引越し作業をしてしまったためだと思う。翌日慌てて主治医を受診したところ、血胸が出ており、そのまま処置で出血を抜いてもらった。1Lも出ていたようである。何気なく処置も終わって、症状としては完全に良くなったが、よくよく考えると結構危ない状態だった。
今でも時々照射部の肋骨のあたりが痛くなるので、無理はしないようにしている。
副作用のことばかり書いてしまったが、何よりもこの陽子線照射はよく効いてくれた。肝臓は半分つぶれてしまった(右葉がなくなった)が、お蔭で転移巣は完全に消失した。食道の原発巣も、内視鏡で見るとべりっと剥がれ落ちたような感じで、きれいになくなっていた。
この間、化学療法としては、パクリタキセルを使用していた。いわゆる化学放射線療法をやっていたことになる。
やはり効果がよく出たのは、極めて低分化で悪性度が高いAFP産生腫瘍だったからのようだった。一般論だが、癌は悪性度が高いほど、手術は難しくなるが、化学放射線療法はよく効くようになる。私のようなちょっと変なタイプの癌は、必ずしもガイドライン通りにやることは正解ではない、と確信を持った。
風向きが変わってきた。
体についても、心についても、いい方向に向かうようになってきた。