「メタ(転移)かもしれない。」
ちょっと熱がでたので、近くの開業医を受診したところ、肝臓にエコーをあてられながら言われた言葉です。
「は?」
思わず口をついて出た言葉です。
そう言ってしまったのを良く憶えています。
この内科医は高校の同級生だったので、最初何をふざけているんだ。。。と思いました。いや、でも顔はそういう顔ではない。。。
前の晩に熱発し、上気道症状が無かったのが気になりましたが、季節的にまあ風邪か何かだろうと思って、職場に出勤が遅くなる旨を連絡してから受診したところでした。採血したところ、CRP(炎症の指針となるもの)が異常に高く、何を思ったかおもむろにエコーで腹の中を探られてた時に、さっきの言葉を発せられたわけです。
もともと逆流性食道炎(いわゆる胸焼けを起こしやすい病態)持ちで、彼からその薬を貰っていたり、胃の内視鏡をやってもらって居たりしていたわけでしたが、ともかく大学へ、ということで、至急で紹介状を書いてもらいました。ややっこしいのですが、自分の勤務している大学病院ではなく、私の母校の方を紹介してもらいました。母校の方が実は家から近かったし、ちょっとやばいかもしれない、と思ったので、職場には知られたくないと思ったからです。彼の優しさなのか、熱発していたからか、「肝膿瘍」という診断で紹介してもらいました。エコー像では、均一な低輝度病巣だったので、かなりメタっぽかったのですが。。。
この先の展開がある程度想像ついてしまったので、心中全く穏やかではなく、その足で母校に向かいました。ともかく、この悪い想像を断ち切ることに専念をし、なるべく「無」の気持ちになろうとしました。
ただ、やはり無理で、肝にメタの起こしやすいガンで一番経過の良いのは何だろう。。。とか、仕事のこととか、担当患者さんのこととか、どうなっちゃうんだろう、と頭と心の中がぐちゃぐちゃのまま、車で約20分の母校に到着しました。