はじめに——大切なこと
家族や一緒にいる人に触れるケアを行う前に、必ず守ってほしいことがあります。
「触れてもいいですか?」と、必ず相手に確認をとること。
相手が「嫌だ」と感じたら、すぐに止めること。
できれば同性同士で行うこと。
無理に触れようとしないこと。
自分自身へのセルフタッチは、いつでも、どこでも、一人でできます。
一人でできること① 自分をゆっくりなでる(セルフタッチ)
誰もそばにいなくても、自分の手で「安心」を届けることができます。
一つは、片方の手のひら全体を、もう片方の腕にそっと置きます。手首から肩に向かって、1秒間に5cmというゆっくりとしたスピードで、包み込むようになでていきます。
また顔を洗える場合は、洗顔後化粧水などをつける時などに、
ご自身の手で頬や顔全体を包み込み、ご自身の手の温かさをゆっくり感じるだけでも効果があります。
「大丈夫だよ」「ここにいていいよ」——心の中でそう自分に語りかけながら、ゆっくり続けてみてください。
セルフタッチでも、オキシトシンは分泌されます。
「自分で自分を安心させる」——それは弱さではなく、からだが持っている力を引き出すことです。
一人でできること② 深呼吸と一緒に行う
セルフタッチと深呼吸を組み合わせると、さらに効果が高まります。
胸やお腹に手を置いて、ゆっくり息を吸います。吸うより少し長めに、息を吐きます。吐くときに「ふーっ」と声に出してもいいです。
吐く息が、副交感神経を優位にします。手のひらの温もりを感じながら深呼吸をすることで、「安心モード」への切り替えが促されます。
寝る前、不安が強いとき、眠れないとき——5分でも続けてみてください。
一人でできること③ 温かいものを飲む
シンプルだけど、大切なケアです。
温かいお白湯やハーブティーをゆっくり飲むこと。両手でカップを包み込むように持つと、手のひらへの温もりがオキシトシンの分泌を助けます。
「ゆっくり飲む」という行為そのものが、副交感神経を優位にし、からだを「安心モード」に切り替えます。
家族・大切な人にできること① 背中をゆっくりなでる
相手に確認をとってから、手のひら全体を背中にそっと置きます。上から下へ、ゆっくりと包み込むようになでていきます。押さない、揉まない、ただゆっくりなでるだけ。
子どもには、「背中なでていい?」と声をかけてから。子どもが安心するまで、ゆっくり続けてあげてください。
家族・大切な人にできること② 手を握る
手を握るだけでも、オキシトシンは分泌されます。
「手、握ってもいい?」と確認してから、相手の手をそっと包み込むように握ります。強く握らなくていいです。ただ、そこにいる感じで。
「ひとりじゃない」という感覚が、恐怖や不安を和らげます。言葉がなくても、手のひらが「そばにいるよ」を伝えてくれます。
家族・大切な人にできること③ 肩や腕をそっとさする
肩や腕をゆっくりさするだけでも、ゲートコントロール効果が働き、緊張や痛みが和らぎます。
「肩、さすってもいい?」と確認してから、手のひら全体で包み込むようにゆっくりと。
特に、子どもが泣いているとき、パニックになっているとき——言葉より先に、肩やからだをそっとさすってあげてください。からだへの触れ方が、こころを落ち着かせます。
不安な気持ちを、言葉にすること
一人でいるとき、不安を抱え込まないでほしいと思っています。
誰かに電話する、メッセージを送る、声に出して話す——それだけでも、こころの緊張がほぐれます。
「怖い」「不安だ」——その気持ちを言葉にすることで、脳が感情を整理し始めます。誰かに聞いてもらえなくても、日記に書くだけでも違います。
ケアする自分自身も、ケアが必要
家族のそばにいて、誰かのためにケアをしている方へ。
あなた自身も、消耗しています。「自分は大丈夫」と思いながら、限界まで頑張りすぎないでください。
自分のからだをセルフタッチでほぐす時間を、少しでも作ってください。深呼吸をしてください。温かいものを飲んでください。
あなたが満たされることが、あなたの大切な人を支える力になります。
次回は、ペットへのケアをお届けします。
