膝が内側にズレてしまってだね。
靭帯切れっぱなしになっていて、十数年放置してあったのだが、ついに来てしまったという感じだった。
うわー面倒臭いなー、無事な所を鍛えて補強すんのかー、もうそういうの嫌なんだよなーと嘆きつつ。
嫌だが本当に嫌そうな顔でジム通いを始めた。
なんでそんなに嫌そうな顔しているのですか?とトレーナーの若者に尋ねられるレベルで顔に出ていた初老、台所ぬめりだ。
ほとんどの問題を筋力と知力で解決してきてしまったから、もう生きて行く上で筋力と知力に頼りたくなかったんだよ。
なんかフンワリとした横の繋がりだけで諸問題をクリアしていきたいのだ、楽だから。
そんな感じで、トレーナーの若者に話しかけられて、遠回り中の【我々が百年前に通り過ぎた場所だッッ!】ってアドバイスされるのも面倒だから、ある程度の個人情報を明かしたんだよ。
口出しすると恥かいちゃうから黙ってようと距離取らせる為に。
ゆとり乙!ゆとり乙!
頭の悪い、いわゆる脳筋タイプで、仲良しジム会員さんに喋りまくっていた。
煩わしいから秘密のアッコちゃんなのに、こうなると酷いもんだよ。
寄ってくるのだ、知らない人々が。
そんな中で、なんだか今風の若い娘が寄ってきてさ。
アタシに話し掛けられてオジサンだから嬉しいでしょ?みたいな馬鹿いるじゃないかね。
そんなのが。
こちとら最高級の処女と少女と娼婦に淑女と浮名を流した初老じゃないかね。
まったく嬉しくもなければ、若者と喋るのに相手に知性ラインを設ける嫌な奴なわけだよ。
だから思いっ切り人当たり良く会話してあげたよ。
私、こんな冷酷で野蛮な完璧超人キャラに見えて、実際は温和な親戚の叔父さんタイプだから無碍にも出来ないんだ。
一応、二人で話すと勘違いされそうだから、トレーナーの若者を呼んで三人で話す形にした。
なんかトレーナーの若者が居心地悪そうにしていたから何かあんのかな?この娘に気があるのかな?と面白がっていたら違っていた。
パーツ単位で肉体のデザインをしたいとか言い出したんだよ。
そんでもって、それをトレーナーに依頼したのだが、そんなの無理だと言われたから、私の所に来たと。
そんなの無理だよ、と切って捨てないとトレーナーの若者の立つ瀬が無くなるなーと思いつつ。
こいつ俺様の個人情報ベラベラ喋りやがってガッデムと思っていたから、その無茶なオーダーに答えてあげた。
なんでもRQやってるけど仕事無くなってきて困ってるんだとさ。
それで「おっぱい大きくして太股だけムッチリしたいんです!このスリムな私のままで!」って頭の悪い事を言い出した。
これだけ頭悪い感じだとカチンともこないよ。
もう年も年なのに努力せずに生きようとする姿勢。
楽して稼ごうとして人生詰むタイプだなぁと冷たい目で教えたよ。
胸だけで上げるベンチプレスってあってさ。
腕の力も使っちゃうんだけど、そもそも間違ったフォームだから筋肉つきにくいのだ。
その形だと、ほとんど筋肉がつかない。
それを利用してだね。
胸だけベンチプレス→二週間の休み→胸だけベンチプレス→二週間の休み。
これを繰り返すと大胸筋に少しついた筋肉が脂肪に変わって行く。
そうすると少しだが胸の部分に脂肪が蓄積されるのだ。
んで、胸って脂肪が残るように出来てるから続けていると胸囲がアップする。
後は寄せて詰め込むブラに頼ればOKなのだ。
足も同じ仕組みで、間違ったスクワットを繰り返す。
足首やふくらはぎの筋肉を使わないスクワットを続けて、太股周りにだけ脂肪をつける。
矯正ストッキングと組み合わせれば望む形が手に入る。
こっちは歩行するだけで落ちてしまうので、維持するのに面倒なのだが仕事量が増えるなら頑張れるだろうと。
それが去年の話だ。
そんな感じで半年したら峰不二子っぽいラインが完成していて、かなり深いお辞儀で感謝された。
あー、この人って頭を下げた事など無いだろうから本気で感謝してるんだなーと、そこそこ良い仕事したって気持ちになったよ。
それで、膝の補強も終わったし、半年の間にトレーナーの若者も解雇されてたし(私は関係なくて会員に手を出したそうだ)、そんじゃ退会するかなと。
専用のカウンターで書類貰ってたら件のおてんこてんてん娘が来て、辞めちゃうのですか?と。
もうこっちに用はないし、目的も終わったし二度と会わないわけじゃないかね。
無視してやったよ。
飴と鞭だ。
魔法のような出来事を可能にする人間と、そう簡単に親しくなれると勘違いさせたら教育に良くない。
って報告を私イジメが流行している場所でしたら、私イジメが収まった。
女社会特有の何かに触れたらしいく、逆に優しくされるようになった。
「おいメリー飴食うか?」「おうジジイ肩揉むか?」「そこのキモオッサンSEXしていくか?」みたいに優しくなったよ。
セックスはブラリ立ち飲みみたいな流れでしねえぇよ!
あいつら本当に怖い物とかないのかね?