甘いパンケーキを食べていたんだよ。


私のようなキモオタが入ると、ビクビクしてしまうような洒落たカフェでだ。


これなんだが、とんでもなく美味しかった。



台所のぬめりのように


あ、前から言っておこうと思っていたんだ。


私、そういう店に頻繁に出入りしているけれどもね?


中では、いつもビクビクしているんだよ。


いつ、「マスター、あちらの方、年収おいくらまんえんですの?」とか「申し訳ございませんが、お客様は当店に相応しくないのでお帰りください」とか。


そういうキモオタならではの心配と背中合わせだよ。


べつに、華麗な大人とかではないのだ。


むしろ、加齢な中年なのだよ。


それでだね。


パンケーキ美味しゅうございました。


葡萄液も美味しゅうございました。


豆茶も美味しゅうございました。


にっこりほくほくでコーヒーすすっていたらだ。


私より10歳くらい年上なのかね、あの雰囲気は。


そんな女性のグループが入店してきた。


お店に似つかわしくない大声でトーキング。


よくある事じゃないかね。


私と同じくらい迷惑な存在だと思うのだが、実に堂々としたものだ。


見習いたい、あの鋼鉄のハートだけ。


ああ、さっさと出ちゃおうと思っていたら、話が面白い方向にローリングしたのだ。


海外旅行に行く、と。


次の日曜日に、だ。


チケットは割高だけれど、とりあえず押さえちゃうね、と。


私は飛行機が嫌いなので知らないのだが、こりゃ相当な成金さん達だと思ったのだ。


話を聞いているとだね。


全員、何かの会社の社長なんだよ。


下品な大声、周りに聞かせるようにお金持ってる系の話ばかり、税金なんて脱税しちゃえばいいのよと炎上寸前の犯罪自慢。


耳を欹てていたのだがね。


ディティールのしっかりした話なので、全てリアルな話だったのだ。


あれ?


なんか違う!


私の抱いている女社長のイメージと違う!


あ、いや、私の抱いている女社長のイメージは、若い部下をバタードッ○みたいに扱うイメージだ。


そんなに純情じゃないよ、薄汚い大人だよ!


しかし、こんな物なのかね?


女性の会社経営者さん達って、みんな下品になっているのかね、今の時代。


本当に思ったんだ。


品性と知性って比例しなくなっているのかい?


反比例していても、なんとか会社回せちゃうイージーな社会になっているのかね?


私の抱く女社長のイメージが!


このままではデストロイされてしまう!


妖艶で、怪しく、捕食者のような切れ味、みたいなイメージを持っているのだよ。


そして、私を過酷な労働で疲弊させ、冷静な判断力の無くなった所で隷属させる。


そんな展開を夢見ていたのだ。


女社長(配役:由美かおる様)「うふふ、どうしてそんなに赤くなっているの?」


台所ぬめり(配役:松田龍平)「あ、あの、しゃ、社長と二人きりなので緊張してしまって」


女社長(配役:由美かおる様)「そんなこと言わないでよ、これでも女なんだからね?(額にコツン」


台所ぬめり(配役:松田龍平)「ブヒィィィィィィ!由美かおりさんブヒイィィィィ!」


くっ、よく道路に捨ててあるトラッカー御用達の表紙が劇画調の漫画雑誌を読んで、もっとイメージを強く持たなければ!


現実なんかに負けないっ。