長年勤めた保育園での話です。


新入園児を迎える時期は、園内が泣き声で包まれます。『大丈夫!任せてください!いってらっしゃい!』は親御さんへ毎朝伝えていた言葉です。


この時は乳児クラスを担当していました。慣らし保育のある園で、初日は平気だった子も2日目からは[家に帰りたい][保育園いやだ][ママがいい]と泣いて表現します。

預かった後の子供の様子は、指差しや覚えたての『あっち』という言葉で親御さんの歩いて行った先を追おうとします。

気持ちに答え『あっち行く?行ってみよう!』と声を掛けると頷いて泣き止むものの、探している相手が見当たらないと泣き出す…という繰り返し…。

子どもの気持ちに寄り添いつつ、気を紛らわせてを繰り返すうちに落ち着いて遊ぶようになっていくのです。


そんな子どもたちが卒園を迎えた日、親御さんから『子どもが乳児の時に後ろ髪を引かれる思いで預けていた頃、先生達が[大丈夫!任せてください!]と言ってくれた言葉は私にとって心の支えでした』

と言われたんです。当たり前に言っていた言葉なのにそんな風に思っていてくれたなんておねがいおねがいおねがい


乳児担任の記憶は子どもたちには残りませんが、親御さんにはいつまでも残っていたんだなと思うと胸が一杯になりました。