ヒッチコックの作品から。

 

208回目は

「レベッカ」

 

 ヒロインが豪邸に後妻として入ったが、前妻の見えない影が支配している事に追い詰められ、やがて真相に近づいていく話。

アルフレッド・ヒッチコック監督。1940年公開(日本では1951年)。モノクロ映画。

 

 「わたし」(ジョーン・フォンテイン)は、天涯孤独の身の上。ホッパー夫人の付き人をしていた。モンテカルロでイギリスの大富豪、マキシム・ド・ウィンター(ローレンス・オリヴィエ)と知り合い恋に落ちる。

 

 マキシムと結婚しイギリスの大邸宅、マンダレイへ行く事になるが、マキシムにはレベッカという前妻がいて、一年前にヨットの事故で亡くなっていた。

 

 沢山の使用人が居たが、その中を取り仕切るダンヴァース夫人(ジュディス・アンダーソン)は亡きレベッカを今でも崇拝していた。西塔の部屋はレベッカが生前のままにしてあり、近づくなと言われる。そう言われると、入りたくなるのが心情。

 

 「わたし」は、ド・ウィンター夫人として早く認めてもらうため、努力する。

そして仮装舞踏会を開く事を提案。ダンヴァース夫人に、ある肖像画のドレスを着るよう勧められる。

 

 しかしマキシムは、それを見るなり怒り、着替える様に言う。そのドレスはレベッカの物だったのだ。

 

 西塔に入るダンヴァース夫人を見かけ追いかける「わたし」。夫人は大きな窓から身投げするよう「わたし」に迫る。レベッカに勝てるわけがないと・・・。

 

 その時丁度、難破船の救難信号の大きな音がする。我に返る「わたし」。

マキシムを探しコテージに居た彼に、レベッカとの結婚生活と事故の真相、今夜の難破船の事故がそれに繋がるであろう事を告げられるのであった・・・。

 

 

 「レベッカ」は肖像画で一瞬しか登場しない。そのレベッカが今も屋敷を支配しているのが、ひしひしと伝わる。マキシムの抱えている秘密と苦渋、そしてダンヴァース夫人の不気味で盲目的なレベッカに対する思慕が理由だ。

その中で、新しい夫人として認めてもらおうとする「わたし」が痛々しい。ジョーン・フォンテインが微妙な表情の移り変わりで好演している。

 

 モノクロであるが故、重厚さと不穏な雰囲気が漂う。

終盤は会話劇であるが、マキシムとレベッカの一連の成り行きは分かりやすかった。

マキシムは、事実を警察に言わない。これで良いのかと思うが、二人の愛は強固になる。

 

 ラスト、狂ったダンヴァース夫人が火をつけ、マンダレイの屋敷は燃え落ちる。

 

 レベッカの「R」の刺繡が脳裏に焼き付く。80年以上たった今も引き込まれるミステリーである。

 

☆3.75です。

 

 じゃ、またバイバイ