多摩地区の水道水から、発がん性などの人体への重大な影響が指摘されている「有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)」が検出され、国分寺など多摩地区の住民の血液検査をした結果、85%の住人から米国基準を大きく超える数値が検出され、汚染が広まっていることが報道されています。

 

 

 

しかし町田市では「上水事業は東京都水道局の管轄」として、「有機フッ素化合物(PFAS)」の水道水汚染についての情報収集や市民への注意喚起、東京都への要請など、一切対応をしてきませんでしたし、今後も対応する気はないとのことでした。

 

 

「危機を見過ごさない」観点から、人間が生きていく上で必要不可欠な飲料水の汚染に対し、市民の健康危機管理を受け持つ町田市保健所の真摯な対応を求めて議会質問しました。

 

 

上水事業は2012年に東京都に移管されましたが、保健所は水道水を含む飲料水に関しても、市民の健康危機管理を取り扱うことが法的に定められていることをご指摘させていただき、市民の公衆衛生を司る保健所の自覚を求めました。

 

危機管理において情報の収集や公表は基本でありますし、町田市は保健所政令市でもありますので、「水道水は東京都の管轄で町田市は何もしない」とするのではなく、危機意識を持って積極的なリスクマネージメントをすることは当然に果たされるべき職責だと思っています。

 

 

 

 

2023.3一般質問(水道汚染調査について)

 

 

【壇上質問 厳太郎】

 

 

通告に基づき一般質問します。

 

日本には四季があり、水資源に恵まれてきたことから現代の発展があると言われています。

 

世界には200か国以上ありますが、水道水がそのまま飲める国は、日本を含めわずか9か国と2都市しかなく、日本は水道の水質が非常に良い数少ない国の一つです。

 

しかし、昨年から東京都多摩地域の水道水に使われていた井戸水から発がん性が疑われる有機フッ素化合物(PFAS)が検出された問題が、連日大きく報道で取り上げられてきました。

 

PFASとは『有機フッ素化合物』の総称で、水や油をはじき、熱に強いことから、「焦げ付かないフライパン」などの調理器具のコーティング材や、衣服の撥水加工、消火剤などに含まれていますが、

 

自然界でほぼ分解されないため、人体や環境中に長く残ることから、「フォーエバー・ケミカル=(永遠の化学物質)」と呼ばれており、国連のストックホルム条約会議で「危険な化学物質」として認定され、欧米を中心に規制強化が進められてきました。

 

報道によりますと、多摩地区の広範囲の水道水から人体に健康被害を及ぼす有機フッ素化学物のPFASが高濃度で検出され、多摩地域7市の浄水施設34カ所で水源井戸からの取水が停止されたようです。

 

取水制限がされたものの、これまで長年飲用してきた市民からは不安の声が上がり、市民団体の「多摩地域の有機フッ素化合物汚染の実態を明らかにする会」が、住民の血液検査を実施したところ、

 

血中濃度は、PFOSが約4倍弱、PFHxS(ピーエフ・ヘクス・エス)が約15倍も全国平均を上回り、既に体内に取り込まれ残留していることがわかりました。

 

また、検査を受けた住民の85%が、米国の学術機関「全米アカデミーズ」が、健康被害のリスクが非常に高く、がんなどの発症に注意を要する注意喚起濃度を上回っていたことが判明しました。

 

 

 

PFASの人体への影響として、がんのリスク上昇以外にも、妊娠高血圧症など生殖への影響、コレステロール値の上昇、低出生体重・骨の変異など子どもの発達への影響、ワクチン反応など免疫力の低下、肝臓の代謝に悪影響を与える等があげられています。

 

報道を受けて、私にも多くの市民の方々から「町田市の水は大丈夫なのか?」との問い合わせをいただきました。

 

上水の管轄は東京都水道局だということは重々理解していますが、水は人間が生きていく上で必要不可欠なものであり、市民の生命や健康に影響があるのなら町田市としても看過できない問題になると思います。

 

そこで伺います。

 

項目番号①飲用に供する市内の井戸水について(1)市で把握している飲用井戸の状況は?

 

 

 

【答弁 保健所長】

項目1の「飲用に供する市内の井戸水について」の(1)「市で把握している飲用井戸の状況は。」について、お答えいたします。

町田市で把握している、飲用などを目的とした、個人や団体が設置している井戸は、

305件となっており、町田市では設置者に対して、水質検査を年1回以上行うよう、衛生管理の指導を行っております。

衛生管理については、設置者自らが行うこととなっており、町田市では設置者に対して、広報紙「井戸だより」を年1回送付するなど、飲用に使用する際の注意点等についての啓発を行っております。

 

 

 

【再質問① 厳太郎】

市内の飲用などを目的にした井戸は305件で、井戸の設置者に衛生管理の指導を行っているとのことでした。

また広報誌「井戸だより」で飲用する際の注意について啓発しているとのことでした。

 

当然、永遠の化学物質であり、人体への危険性が指摘されているPFASについて、注意喚起をされましたよね?

 

 

【再答弁①保健所長

現在、厚生労働省で定める「水道基準に関する省令」で定める、51項目については、ホームページ等で毎年検査をするよう啓発を行っておりますが、その他の基準にない「水質管理目標設定項目」等についての、注意喚起等は行っておりません。

 

 

【再質問② 厳太郎】

PFASについて「注意喚起等は行ってない。」との答弁でした。

では人体に危険性が指摘されているPFASについて、広報誌「井戸だより」で何回取り上げましたか?

 

 

【再答弁②保健所長】

「井戸だより」においても、特定の物質に関しての情報提供等は行っておりませんが、水質に関するご相談や、お問い合わせもあることから、水道基準にない「水質管理設定項目」についても、ホームページ等で情報提供を行うよう、検討してまいります。

 

 

【再質問③ 厳太郎】

今後検討してくださる、との答弁でした。

 

町田市では、2012年に水道事業についてはすべて東京都水道局に移管しておりますので、この度の水道水汚染に関して対処すべきは間違えなく東京都水道局や環境省でありますが、市民に対し安全安心の観点から、町田市の水道水の安全性について市民が個別に問い合わせることなく、市として東京都などに確認して市民に表明することはできないのでしょうか?

 

「多摩地区の水道水から人体に影響があるPFASが高濃度で確認され、住民の血液検査の結果85%の方から、米国基準を超える汚染が判明した」との報道が続いている今、

 

町田市は同じ多摩地域ですが、今回報道されている自治体と異なり、水道水は地下水をくみ上げて取水しているのではなく、多摩川水系、利根川系、荒川水系の水が小作、東村山、朝霞浄水場で高度浄水処理され、市内に届けられ、滝野沢浄水場、小野路給水所、野津田浄水場、原町田浄水場や、多摩市など市外の給水所から各家庭に提供されているのでPFASの汚染は軽微であり、暫定基準を下回っていると、市民の皆様にお伝えすることはできませんでしょうか?

 

 

 

 

 

【再答弁③保健所長】

水道水については、水道法の規定により、水道事業者である東京都水道局が水質検査を実施し、検査結果やその他の水道事業に関する情報を、提供しなければならないとされております。

東京都は、水道水の水質に関する情報を、ホームページに掲載して情報提供を行っておりますので、町田市から改めて、市民へ水道水についての情報を提供する予定はありません。

 

 

 

【再質問④ 厳太郎】

「町田市は市民に情報提供しない」との答弁でした。

 

今回問題となっている多摩地区の自治体である国分寺市も町田市と同じく水道事業を東京都に移管していますが、国分寺市では市のホームページに、以下の3点記載されています。

 

①   「水道事業はすべて東京都水道局に移管していること」、

 

②   「国の暫定目標値の設定に先立ち、令和2年3月までに、給水栓で50ng/Lを超えている5か所の浄水所の井戸水源の停止等の対応を行い、現在は安全性に問題がないことを確認していること」、

 

③   「国分寺市では、東京都水道局長宛に、定期的な水質検査の実施と検査結果の公表の継続、市民の不安解消を図るための対策を要請していること」

 

このように国分寺市では市民に情報提供しています。

 

町田市では「水道水は東京都水道局の管轄で町田市保健所は関知していない」とのことでしたが、町田市保健所は市民の健康危機管理をつかさどっており、町田市健康危機管理委員会も設置しています。

 

町田市健康危機管理委員会は、「町田市における医薬品、食中毒、感染症、飲料水その他何らかの原因により生じる市民の生命、健康の安全を脅かす事態に対し、発生予防、発生時の対応及び拡大防止等に向けた危機管理体制を確保すること」が目的に設置されています。

 

水道水のPFASによる汚染状況の把握が当てはまると思いますが、あくまでも「水道水は東京都の管轄だ!」となるのでしたら、ここで言う「飲料水」とは何を指し、何をもって「危機管理」と言っているのか解らなくなります。

 

実態把握のために東京都に積極的に働きかけ、定期的な水質検査の実施と検査結果の公表、市民の不安解消を図るための対策を要請すべきと考えますがいかがでしょうか?

 

 

【再答弁④保健所長】

水道水は、水道法に基づく水質基準に適合することが求められているため、東京都水道局が水道施設の監視等を常時行っております。定期的に水質検査を行い、公表されていることから、町田市から東京都に積極的に働きかけを行う予定はございません。

 

 

 

【再質問⑤ 厳太郎】

東京都が常時監視し、定期的な水質調査を行っているので、町田市から東京都に積極的に働きかけを行う予定は無いとのことですが、東京都が常時監視し、水質調査を行っていたにも関わらず、なぜ府中や国分寺市民のPFAS血中濃度が全国平均の4倍とか15倍を超えたのですか?

 

そして調査した国分寺住民の85%が米国で定めるPFASの血中濃度の指標値を大幅に超えて、人体への汚染が確認されたのはなぜだと考えますか?

 

 

 

 

 

2002年より京都大学医学研究科が全国の河川などを調査し、都内の河川から高濃度の有機フッ素化合物が検出され、指摘されていましたが、東京都が有機フッ素化合物について公表したのは2019年です。

 

今回問題となっているのは、PFASは環境や人体への残留性が高いことから日本でも製造輸入が禁止され、健康影響の懸念から欧米では規制強化の動きが強まっているのにも関わらず、日本国内では国内研究が少なく毒性評価が定まっていないことから、最近になって暫定基準値のみ設け、対策に消極的であったため、このような事態に発展してしまっています。

 

京都大学 環境衛生学の小泉名誉教授は、「PFASに関する科学的知見が少ないのは行政の不作為」とまで発言しています。

 

情報収集が危機管理の基本でありますし、町田市は保健所政令市です

 

地域保健法第6条の4「保健所は住宅、水道、下水道、廃棄物の処理、清掃その他の環境の衛生に関する事項について企画、調整、指導及びこれらに必要な事業を行う」とさだめられていますし、同第7条では「保健所は地域住民の健康の保持及び増進を図るため、必要があるときは、所管地域に係る情報を収集し、整理し、及び活用すると定められています。

 

町田保健所もPFASに関して積極的に情報を収集、整理、活用すべきと考えますがいかがですか?

 

町田保健所の市民に対する健康危機管理のうちの「飲料水」とは何を指すのですか?

 

井戸水だけですか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【再答弁⑤保健所長

健康危機管理の定義における「飲料水」については、「井戸水」のみでなく「水道水」も含まれるものと認識しております。

 「水道水」の基準については、健康面に関して「厚生労働省」において「水質基準逐次改正検討会」で所要の検討を進め、「厚生科学審議会」へ答申し見直しが行われております。

 東京都は、これに従って水質検査を実施し、ホームページ等で公表を行っておりますので、市民の皆さま方におかれまして、安全に水道水を利用いただいているものと考えております。

 しかしながら市民の皆様に不安があるようであれば、水道水に関する情報についても、ホームページ等で周知してまいります。

 

 

【再質問⑥ 厳太郎】

ホームページ等で公表していただけるとの答弁でした。

前向きな答弁に変わりました。

ありがとうございます。

 

答弁を纏めますと、「町田市保健所が対応している市民の健康危機管理の中には飲料水が含まれ、ここで言う「飲料水」は「水道水」も含まれ、保健所の管轄だということがわかりました。

 

もし、今の答弁で「やらない」とのことでしたら、「町田市の健康危機管理とはいったい何なのか?」と聞かざるを得ないと思っていましたが、やるとのことですので、速やかな情報公開をお願いしたいのですが、公開していく場合は国分寺市と同じような内容で市民に情報公開していくのでしょうか?

 

どのような内容で市民に情報公開していくおつもりですか?

 

 

 

【再答弁⑥保健所長】

今後検討してまいります。

 

 

 

 

【まとめ 厳太郎】

ぜひとも前向きなご検討をよろしくお願いいたします。

 

先ほどもお伝えしましたが、国分寺市は市民の安全のため、東京都に積極的に働きかけており、ホームページ等で市民に情報提供をしていますが、保健所政令市ではなく、一方、町田市は保健所政令市であることから衛生行政に関する情報を都道府県と同等程度に得ることが出来ます。

 

危機管理において保健所政令市は国や東京都の政策動向情報がいち早く提供されます。

 

東京都環境保健衛生課では「血中PFAS濃度の国内基準がなく、血液検査をしてもそれが高いのか低いのか判断できない」とのことですし、

 

東京都水道局技術指導課の課長は「今の対策が万全だとは思っていない、井戸水への対策はコストがかかるので、効率的な手法を取れるように国のPFAS議論を見守っていきたい」とも発言しています。

 

飲料水の安全性について東京都や国に対し積極的に求めていっていただき、科学的な知見から町田市民へ適切な情報提供をし、市民生活の健康危機管理をお願いして、この項目を終了します。

 

 

ありがとうございました。