退院して、もう半年チョットすぎました
入院していたときのことを思い出しながら、いろいろ書いていますが、なぜ今になってから? ちょっと疑問かな
入院していたときに書けばよかったのに、たしかに書きたいなとは思っていました
なぜだろうと考えてみると
気力が湧かなかった、ということだと思います
入院していたときは、毎日忙しくがんばってリハビリをしてました
でも、時々、気が抜けたようになってしまうことがありました、そんなことは、手術する以前にはメッタにあることではなかったです
退院して半年チョット経った今でも、時々、ボーッと魂が抜けたようになっていることがあって、ハッとして気がつきます
なぜ、ボーッとしてしまうのか?
自分なりに考えて、出した答えは
カラダが不自由になってしまった、という出来事が、だいぶ堪えるモノだったということで、躁とうつが交互に来て、気持ちがハイになったり、落ち込んだり、もしかしてヤバい状態だったのかも、そんなことを改めて思い知らされた感じです
なので、入院中はブログはとても書けませんでした
しかし、唯一あるコトだはメモをしていました
それは、オシッコの時間と量です
なぜかというと、尿が溜まっても、尿意というモノを感じないから、放っておくと尿が溜まりすぎてしまうからです
では、尿が溜まりすぎたら、なぜいけないのか?、それは膀胱がのびすぎてしまうからで、伸びきってしまった膀胱は、もう元には戻らなくなってしまう、だから、尿の量や時間を記録しておくことで、膀胱が伸びきってダメになってしまわないように注意するためです
でも、人間の体は、なかなか思うように上手くはいきません
6時間たっても、尿が少ししか溜まらない時もあれば、2時間でムチャクチャ溜まる時もあります
だいたい、700㎖以上溜まらないように注意してますが、なかなかうまくいきません
困るのは、溜まりすぎると勝手に出てしまうことで、頭が痛くなってしまう問題です
いい年してオネショをしてしまうのが、ものすごくストレスになります
リハビリパンツを履いていますが、体を横にして寝ているときにズレてしまうようで、シーツを濡らして汚してしまうので、看護師さんにお願いしなければならなくなります
しかし、それも3日も連続でとなると、恥ずかしくてイヤになってしまいます
汚してしまったモノは、できる限り自分で処理しますが、シーツだけはどうしようもありません
看護師さんがシーツを交換している間、スミで小さくなっている時の情けないことといったら、ホント、恥ずかしくてイヤになります
でも、それはワタクシだけの問題ではなかったようです、お隣の患者さんも苦労しているようです
もう89才のおじいちゃんでしたが、癌の患者さんでした
その患者さんが入院して来て、しばらく経った真夜中のことです
ガラガラ、ゴトン ガラガラ、ゴトン
夜中の2時半で、かなりの騒音でした
ビックリして目が覚めてしまいました
ガラガラ、ゴトン ガラガラ、ゴトン
備え付けのタンスの引き出しを、開け閉めする音だとすぐにわかりました
でも、なにをそんなに、何10回も開けたり閉めたりしているのか訳がわかりません
そのうち、おじいちゃんのため息まで聞こえてきました
う~ん、どうしたんだろう?
しばらくして、理由がわかりました
10分くらいして看護師さんが、お隣さんのところに来ました
「ナースコールしてくださいって言ったでしょ!」
看護師さんの声が、心なしかキツく聞こえます
聞こえてくる話しの内容から
どうも、オネショをしてしまったようです
看護師さん、怒ってる?
優しくしてあげてよ、おじいちゃんなんだからさ
シーツを交換している音が聞こえてきて、話し声も聞こえてきてしまうので、シーツ交換が終わったころには、だいたいのことがわかりました
おじいちゃんは舌の癌を患っていて、抗がん剤の治療をおこなっているようですが、そのパックの抗がん剤の点滴薬の量が多くて、結果的に水分を多くカラダに入れてしまうので、出るオシッコも多くて、そのせいでオネショをしてしまう、ということのようです
看護師さんは、おじいちゃんがトイレに行きたくなったら、ナースコールするようにとお願いしてあったのを守ってくれなかった、と思って機嫌が悪かったのかもしれません
ガラガラ、ゴトンは、濡れて汚してしまった下着の替えをさがしていたようです
しかし、それから2週間は毎日、夜中の2時くらいになると
ガラガラ、ゴトン ガラガラ、ゴトン
そして、おじいちゃんのため息が聞こえてきます
かわいそうに
きっと、惨めで恥ずかしく感じているんだろうなと思うと、ワタクシはうるさいと怒る気にはなれませんでした
たぶん、おじいちゃんはナースコールすることも恥ずかしくてしないのだろうと、ワタクシには理解できますが、看護師さんには理解できないのでしょう
なので、イラッとした看護師さんがシーツを交換する音が聞こえてきてくると、わかってあげてよ、と思っていました
とは言うものの、毎日のことなので、ワタクシは少々、寝不足気味になってしまいました
ワタクシは、おじいちゃんの家族によっぽど言ってやろうかと考えました
もっと下着を用意してあげてと
最後のほうになったら
もう、おじいちゃんは着替える下着もなくて、ナースコールも恥ずかしがってしないものだから、濡れて汚れたシーツの上に、濡れて汚れた下着で、たぶんガマンして寝たのだと思います
おじいちゃんのため息が聞こえてくるからです
2週間がすぎて、家族が見舞いに来ている時に、おじいちゃんの担当の医師が回診に来たときのことです
「これからも、いっしょになって、がんばりましょう」
おじいちゃんの女性の主治医が、抗がん剤治療をいっしょにがんばりましょうという意味で言ったようでした
しかし、おじいちゃんは言いました
「わたくしは絶対にがんばりません!」
リハビリの訓練室で、療法士の先生たちにうながされても、ベッドに寝たままで動こうとはしませんでした
おじいちゃんも、寝不足だったせいもあると思いますが
リハビリの訓練室のベッドに横たわって、ホントにイヤそうな、苦痛に満ちているといった顔をしていたのが記憶に残っています
だから、すごく弱々しい感じがしていましたので
別人のように、おじいちゃんが力強く
「わたくしは絶対にがんばりません!」
と、ハッキリと言い放ったのでワタクシはビックリしました
結局、おじいちゃんの固い決意を尊重して、抗がん剤の治療を中止して、その日のうちに、家族に連れられて退院して行きました