30 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/21(日) 00:18:37.17 ID:RnIa5kh4O
魔王「おう!誰だお前?この島に人間はいないはずだったけど……」
勇者「ぼ、僕は偶然この島に流れ着いて」
魔王「えーと、遭難ってやつ?」
勇者「ま、まあそんなものだよ」
魔王「おいっ!」
勇者「ひっ!」
魔王「そこはそうなんです、っていうところじゃないか」
勇者「はあ……?」
31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/08/21(日) 00:23:48.26 ID:AKZ+GicD0
なんでコテなんかつけてんだよ
32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/08/21(日) 00:23:56.23 ID:MkMEx/iL0
支援します
33 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/21(日) 00:25:40.47 ID:RnIa5kh4O
勇者「そ、それより!」
魔王「なんだ」
勇者「君が魔王って本当なの?」
魔王「どこでそれを……」
勇者「さっき偶然聞いたんだけど……君は僕と同じくらいの普通の少年じゃないか」
魔王「まあね、その通り」
勇者「えっ」
魔王「俺はまだ普通の少年だ、魔王になるのは城が完成して玉座に座った瞬間から」
勇者「君は普通の人間で普通に育てられてきて……それなのになんで……」
魔王「結構聞いてたな、お前」
勇者「ごめん、つい」
34 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/21(日) 00:30:36.04 ID:RnIa5kh4O
魔王「まあ、家庭の事情っていうか何て言うか」
勇者「家庭の……君の意志じゃないの?」
魔王「いや自分で決めたことなんだ、出来るのは俺だけらしいし。でも正直今も不安だな、魔王って人の敵だし」
勇者「じゃあなんで?」
魔王「だって面白そうじゃん、普通は魔王になんてなれないから」
勇者「面白そうって……」
魔王「魔力、権力、永遠の命、なんだって手に入る……望むならこの世界の総ても」
勇者「でもそれには」
魔王「ああ、勇者を倒して人間たちを従わせなきゃならない」
35 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/21(日) 00:36:49.00 ID:RnIa5kh4O
勇者「あの、その……君は」
魔王「ああ、とりあえずそんな世界は望んじゃいない、とりあえずしばらくは適当に魔王やって魔物や魔族を治めるだけ」
勇者「そっか、よかった……」
魔王「人間に王様が必要なように、魔王だって必要だからな」
勇者「そうなのかな……偉いね、君は魔物や魔族のことまで考えて」
魔王「でも一番のきっかけは親父への反発かな」
勇者「えっ」
魔王「反抗期ってやつで、親父に反対されたらムキになっちゃって」
勇者「反抗期で魔王になるって」
魔王「きっかけってそんなものだろう」
36 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/21(日) 00:39:59.95 ID:RnIa5kh4O
勇者「えーと……お父さんって先代の魔王ってこと?」
魔王「その辺は家庭の事情で詳しくは」
勇者「そっか……ごめん、初対面なのにこんなに色々聞いて」
魔王「おっと、そろそろ暗くなってきたな、戻らなきゃ側近のやつがうるさい」
勇者「行くの?」
魔王「ああ、今はちょっと散歩しに来ただけだからな」
37 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/21(日) 00:44:32.54 ID:RnIa5kh4O
勇者「そのうちこの島に城を建てるんだよね」
魔王「ああ、そろそろ大型の魔物たちが工事に取り掛かりに来るから、お前も早く帰ったほうがいい」
勇者「わかった……でもどうしよう」
魔王「ほら」ポイッ
勇者「何これ?」
魔王「キメラの翼だ、近頃では人間の町じゃ滅多にお目にかかれないだろう」
勇者「最近は一つ10000Gはする!」
魔王「キメラも減ったからな」
勇者「本物?翼っていうか羽……」
魔王「昔は贅沢に翼まるごと使ってたらしいな」
勇者「もしかしてこれ……」
魔王「大丈夫!効果は同じだ!」
38 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/21(日) 00:50:11.99 ID:RnIa5kh4O
勇者「ありがとう、でもなんでここまで……」
魔王「これからこの島にくる魔物たちはすごく強い奴らだから今のお前はひとひねりだ、プチッと」
勇者「プチッと」
魔王「今お前に死なれたら困るんだよ、勇者さま」
勇者「えっ」
魔王「やっぱり」
勇者「し、しまった……!」
魔王「ハハハ、大丈夫今はまだ何もしない、そのためにキメラの羽をやったんだ」
勇者「……」
魔王「また会おう、何年後か何十年後か……あっ」
39 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/21(日) 00:54:21.79 ID:RnIa5kh4O
勇者「な、何か」
魔王「その袋……珍しいも
のだな」
勇者「これは仲間の魔法使いのものなんだ」
魔王「……そうか」
勇者「水汲みに使おうかと思って」
魔王「まあとにかくまたな!」
ギュイーン
勇者「行ってしまった……」
ガサガサガサ
勇者「ひっ!」
40 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/21(日) 00:58:18.13 ID:RnIa5kh4O
僧侶「勇者さま、私です」
勇者「なんだ、僧侶か」
僧侶「あんまり遅いからむかえに来ました」
勇者「ごめん」
僧侶「さっきは思い詰めていたようなので、自殺でも考えられたら、と」
勇者「ああ、そのためにか」
僧侶「ええ、そのために十字架持参でやってきました」
勇者「相変わらずだね、僧侶は」
僧侶「この十字架、重いんですから」
勇者「やたらでかいからね」
41 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/21(日) 01:02:41.24 ID:RnIa5kh4O
僧侶「まあとりあえずさっきの浜辺に帰りましょう」
勇者「わかった」
僧侶「火を焚いて寝床を作っておきました」
勇者「……」
僧侶「……勇者さま?」
勇者「ねえ僧侶」
僧侶「はい」
勇者「また魔王とあったんだ」
僧侶「まあ、それは……」
42 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/21(日) 01:06:28.00 ID:RnIa5kh4O
勇者「魔王は偉い、自分の運命を受け入れて他人の、しかも魔物や魔族のために……それなのに僕は……」
僧侶「いいえ、勇者さま」
勇者「なに」
僧侶「魔王なんて……そんな素晴らしいやつではありません」
勇者「でも……」
僧侶「人間のくせに人間をやめようとするなんて、とんでもない馬鹿じゃないですか」
勇者「いや、彼は立派だ!僕はそう思う」
僧侶「勇者さま……昔、その魔王と似たような考えをしたやつがいたんですよ」
勇者「その人はどうなったの……?」
43 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/21(日) 01:12:12.11 ID:RnIa5kh4O
僧侶「皆に忘れられ、大切なものを失い……」
勇者「それから?」
僧侶「この話は辞めましょう」
勇者「な、なんで」
僧侶「パンと魚がいい感じに焼けました」
勇者「……」
僧侶「さあ、温かいうちに」
勇者「うん」モグモグ
僧侶「食べたら今日はとりあえず休みましょう」
勇者「わかった」
僧侶「お休みなさい」
勇者「……お休みなさい」
44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/08/21(日) 01:17:24.65 ID:8AycWUdqi
あげ
45 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/21(日) 01:20:36.41 ID:RnIa5kh4O
僧侶「勇者さま、勇者さま……朝ですよー」
勇者「うーん……おはよう、僧侶」
僧侶「さあ、今日こそはこの島を脱出しないと!」
勇者「ああ、その心配ならいらない、このキメラの翼が……」ヒラッ
僧侶「キメラの翼!なんて珍しい……翼というか羽ですが」
勇者「魔王がくれたんだ」
僧侶「……」
勇者「さあ、これを放り投げて……」ヒューン
?「グオオオ」ボッ
僧侶「!」
勇者「な、あれは……」
僧侶「なんて大きなドラゴン!こんな島に何故……」
勇者「魔王城の建設が始まるんだ……どうしよう、キメラの翼を燃やされてしまった」
僧侶「こっちに来ます!」
46 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/21(日) 01:28:12.01 ID:RnIa5kh4O
ドラゴン「ギャオオオ!」
僧侶「こいつは魔王直属の魔物……」
勇者「ということは魔王か勇者にしか倒せないっていう……」
僧侶「そうです……来ますよ!」
ドラゴン「ガオオオ」ドガーン!
勇者「うわああああ」
僧侶「勇者さま!」
勇者「ぼ、僕には無理だ……」ガタガタ
僧侶「ちっ……腰抜けめ」ボソッ
勇者「えっ」
僧侶「…えっ?」
47 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/21(日) 01:30:15.61 ID:RnIa5kh4O
僧侶「くらえ!」バキッ
ドラゴン「グアッ」バターン
勇者「ドラゴンが……」
僧侶「これが神の力です」
勇者「いや今十字架で殴っ……」
僧侶「そんなわけ……うらぁ!」グシャッ
ドラゴン「ガハッ」
勇者「いや今確実に……」
ドラゴン「ゲホッ……グググ」
僧侶「勇者さま、火の玉を吐こうとしています」
勇者「えっ」
僧侶「伏せて!」
ドラゴン「ゲホッゲホッ……グバアアアア」ボボボッ
48 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/21(日) 01:37:45.80 ID:RnIa5kh4O
僧侶「オラアアアア」ズバッ
勇者「火の玉を……切り裂いた……?」
僧侶「死ねええええ」グシャアッ
ドラゴン「ギャアアアア」バタッ
勇者「ドラゴンの首を十字架で……切った?えっ」
僧侶「……無事ですか、勇者さま」
勇者「僧侶……君は……いったい……」
?「はあ……いったい何をしてくれたんだよ」
勇者「あ……君は……」
僧侶「魔王」
49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/08/21(日) 01:39:19.07 ID:k1AzdvNwO
「えっ」が多いね
50 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/21(日) 01:41:16.50 ID:RnIa5kh4O
魔王「このドラゴンは俺のペットだったのに」
勇者「ペットて……」
魔王「なんでお前はまだこの島にいるんだ!」
勇者「いや、今から帰るとこで……その……」
魔王「それに……」
僧侶「……」
魔王「親父」
勇者「えっ」
僧侶「……」
魔王「……」
勇者「えっ!?」
51 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/21(日) 01:47:18.41 ID:RnIa5kh4O
勇者「お、親父……?」
僧侶「ああ、そうですよ、魔王は私の息子です」
魔王「なに敬語なんて使ってるんだよ、親父らしくない」
僧侶「今は勇者さまのお供だからな」
勇者「いったい何がなんだか……」
僧侶「俺は魔王の父親……家出した馬鹿息子を連れて帰るために勇者さま、あなたと旅をしていたんです」
魔王「ふんっ、俺は家には帰らないぞ!」
僧侶「まだそんなことをいうか……母さんが悲しむぞ!」
魔王「うるさい!俺は母さんのためを思って……母さん、そうだ親父!母さんはどこにいる!」
僧侶「流された」
魔王「えっ」
52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/08/21(日) 01:48:59.45 ID:VT+D7qJ20
まさかのオチンポついてた説
53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/08/21(日) 01:49:12.91 ID:k1AzdvNwO
????
54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/08/21(日) 01:50:43.25 ID:AKZ+GicD0
僧侶女かと
55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/08/21(日) 01:50:50.55 ID:ZB321Ynl0
僧侶がオッサンだったとは
この気持ちどうすれば
56 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/21(日) 01:52:23.32 ID:RnIa5kh4O
僧侶「とにかく無事だ、それはわかるだろう?あの袋の魔法がとけていないということは元気だ」
勇者「えっ……ということは」
僧侶「ああ、魔法使いと俺は夫婦なんだ」
勇者「そして息子は魔王……ちょっと訳がわからない……」
魔王「親父……なんだって僧侶なんかに」
僧侶「……」
魔王「呪いを解くため、だろう」
僧侶「……ああ、それもある」
57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/08/21(日) 01:56:09.05 ID:k1AzdvNwO
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58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/08/21(日) 01:56:57.72 ID:5EGKcJMZ0
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