1 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/20(土) 22:18:17.63 ID:SuKUIl7FO BE:1103025757-2BP(2727)
[u_sii_naname.gif]
僧侶「そうなんですか」
勇者「そうみたい」
僧侶「えっ?」
勇者「えっ?」
僧侶「勇者さま、今のは突っ込むところでしょう」
勇者「ご、ごめん……」
2 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/20(土) 22:19:55.22 ID:SuKUIl7FO
僧侶「それより現状を把握しましょう」
勇者「そうだね、えーと……僕たちは二日前に港を出て、昨日嵐にあった」
僧侶「そして今朝この浜辺に流れ着いた」
勇者「そ、そうだ!魔法使いがいないじゃないか!」
僧侶「ああ、そういえばそうですね」
勇者「そうですねって」
僧侶「魔法使いは泳げますから、大丈夫ですよ」
勇者「そういう問題じゃ」
僧侶「魔法使いとは長い付き合いですが、あいつが死んだ所を見たことがありません」
勇者「そういうものかなあ」
僧侶「そういうものですよ」
3 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/20(土) 22:22:56.63 ID:SuKUIl7FO
うわあスレタイ間違った
4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/08/20(土) 22:29:01.81 ID:DnpZENPR0
どこ?
5 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/20(土) 22:32:36.71 ID:SuKUIl7FO
微細なので気にせず行きます。
6 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/20(土) 22:34:57.94 ID:SuKUIl7FO
勇者「とりあえず周辺を探索しよう」
僧侶「ですね、じゃあ私はこっちから」
勇者「じゃあ僕はこっちへ」
僧侶「見つけたものは見つけた人のものとなります」
勇者「なにそのルール」
僧侶「冗談です」
勇者「だよね」
僧侶「半分こです」
勇者「だよね」
僧侶「もし人間がいたら?」
勇者「半分こ……は駄目!絶対!」
7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/08/20(土) 22:36:57.60 ID:bqAIBTSV0
終了で
8 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/20(土) 22:39:08.21 ID:SuKUIl7FO
僧侶「あ、勇者さま」
勇者「ああ、僧侶」
僧侶「あれから約30分、どうやらここは1時間とかからずに一周できる程の無人島のようですね」
勇者「そのようだね」
僧侶「私はこれを拾いました」
勇者「おお!僕たちの荷物が入った袋!」
僧侶「勇者さまは……」
勇者「残念ながら、流れ着いた船の残骸だけだ」
僧侶「……ちっ」
勇者「ねえ今舌打ちしたよね」
僧侶「はい」
勇者「正直だね、君」
僧侶「神に仕える身ですから、まあ」
9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/08/20(土) 22:42:37.96 ID:DnpZENPR0
続けてください
10 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/20(土) 22:43:51.74 ID:SuKUIl7FO
勇者「でもこれを乾かせばたき火を起こせる」
僧侶「はあ、そうですね」
勇者「あ、あとはほら!君の木製の十字架も!大事にしてただろう!」
僧侶「おお!」
勇者「やけに重かったけど、水を吸ったのかな」
僧侶「ですね、これも乾かしてたきぎに使えます」
勇者「えっ」
僧侶「えっ」
勇者「神に仕える身?」
僧侶「使えるには身が大事だと思いますので」
11 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/20(土) 22:47:42.53 ID:SuKUIl7FO
勇者「袋の中身を見てみよう」
僧侶「はい」
勇者「おお、中身は濡れていないみたいだ!」
僧侶「魔法使いが選んだ袋ですから」
勇者「濡れない魔法でもかかっているのかな」
僧侶「そうですね、これは魔法使いに敬意を表して」
勇者「表して?」
僧侶「この袋を魔法使いと名付けましょう」
勇者「えっ」
僧侶「えっ?」
12 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/20(土) 22:54:15.64 ID:SuKUIl7FO
僧侶「さあ魔法使いの中身をぶちまけましょう」
勇者「なんか楽しそうだね、僧侶」
僧侶「魔法使いを逆さまにして振り回します」
勇者「わあ結構入ってるね」
僧侶「まあ長い航海の予定でしたから」
勇者「パンに干し肉、魚の干物、果物少々に、パン」
僧侶「後は薬草やら毒消し草やらですね、念のため魔法使いを裏返しにしてみます」
勇者「変な想像しちゃうから言わなくても……」
13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/08/20(土) 22:57:32.70 ID:pzZSjkIB0
魔法使いの中をいじくりまわす
14 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/20(土) 22:58:21.92 ID:SuKUIl7FO
勇者「喉が渇いたなあ……ああ、さっき小川があった!」
僧侶「では水を汲みに行きましょう」
勇者「でも瓶かなにかないと」
僧侶「魔法使いに汲めばいいでしょう」
勇者「ああ、水に濡れない魔法がかかってるなら汲んでも漏れないだろうからね」
僧侶「他にも」
勇者「何」
僧侶「魔法使いに果物を詰める、殴る蹴る、ミックスジュースができる」
勇者「やめよう」
僧侶「ビジュアル的に?」
勇者「語感的に」
15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/08/20(土) 23:03:52.72 ID:DnpZENPR0
殴る蹴るwwww
16 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/20(土) 23:04:27.59 ID:SuKUIl7FO
勇者「まあ、僧侶は休んでて、僕が水を汲みに行ってくるよ」
僧侶「では頼みます」
勇者「わかった」
僧侶「魔法使いがパンパンになるくらいお願いします」
勇者「わかった」
僧侶「はち切れんばかりに」
勇者「……魔法使いになにか恨みでもあるの?」
僧侶「まったく」
勇者「逆にたち悪くない?」
僧侶「そうですかね」
17 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/20(土) 23:09:54.23 ID:SuKUIl7FO
勇者「さて、小川、小川?、と」
勇者「もう少しで着くはず……」
勇者「あ、あった!」
ガサガサガサッ
勇者「!?」
勇者「だ、誰かいる……?」
勇者「見つからないように覗いてみよう……」
18 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/20(土) 23:14:10.68 ID:SuKUIl7FO
?「ふ?ん、なかなかいいところじゃないか」
??「で、ですがこんな南の島にだなんて」
?「俺、海好きだし」
??「それは私も好きですが」
?「だろ!それにここはほとんど人間も来ないからちょうどいいだろう」
??「ですが魔王さま……」
勇者「魔王さま……?」
19 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/20(土) 23:20:24.46 ID:SuKUIl7FO
魔王「なんだよ、側近!せっかく俺がやる気になったっていうのに」
側近「そうですけども、まさか魔王城をこんな南の美しい島に作るなんて」
魔王「だってどうせなら好きな場所に建てたいじゃないか、綺麗な場所に建てたいじゃないか」
側近「魔王さまがその気になれば魔界を開いて無限の領地が手に入ります」
魔王「魔界の空は、海は」
側近「赤紫時々漆黒」
魔王「却下」
側近「見慣れれば美しく感じるものですが……」
魔王「見慣れてたまるか」
20 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/20(土) 23:26:46.08 ID:SuKUIl7FO
側近「まあ魔王さまは人間界で人間として育ちましたものね」
魔王「まあ普通の人間だからね、魔王をやってやるだけありがたく思え」
側近「魔族の再建、統率には魔王さまが必要ですので」
魔王「魔王って魔族の血が入ってなくてもなれるもんなの?」
側近「魔族では血筋より戸籍の方が重要視されますから」
魔王「へえ」
側近「悪魔の召喚等でも、いけにえや道具に力はなくとも揃えることに意義があるのと似たように」
魔王「なんとなく納得」
側近「さすが魔王さま」
21 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/20(土) 23:31:23.40 ID:SuKUIl7FO
魔王「さて、下見は終わりだ!とりあえず一旦帰るぞ」
側近「はい」
魔王「キメラの翼!」
側近「はい」
ギュイーン
勇者「……」
勇者「ま、魔王……」
勇者「魔王城を建てるだなんて……!」
勇者「本当に復活していたなんて……」
22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/08/20(土) 23:37:41.86 ID:0AFbHRlIi
遭難?漂着?難破?あれ?ゲシュタルト崩壊
23 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/20(土) 23:38:03.21 ID:SuKUIl7FO
勇者「僧侶、僧侶!」
僧侶「どうかしましたか、勇者さま」
勇者「た、大変だかくかくしかじか……の前に何その石」
僧侶「これでキメラを打ち落として翼を手に入れようかと」
勇者「それなんてチャプラ」
僧侶「その歳でブッダを既読とはさすが勇者さま!素晴らしい!」
勇者「まさかとは思うけど僧侶の仕える神様って」
僧侶「彼以上の神がこの世にいるでしょうか」
勇者「漫画のね」
僧侶「まあそれはさておきかくかくしかじかの続きを」
24 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/20(土) 23:43:34.49 ID:SuKUIl7FO
勇者「……という訳なんだ」
僧侶「……魔王が……」
勇者「まさか本当に魔王が復活していただなんて!」
僧侶「そりゃあそうですよ、だから勇者さまが旅に出られたんです、私と魔法使いもそれで勇者さまについて来たのです」
勇者「事実かどうかなんて確かめようがないのに!」
僧侶「確かな情報があったもので」
勇者「神のお告げとかそういうのじゃないんだ……」
僧侶「正直僧侶歴浅いので、そういうのはよくわかりません」
25 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/20(土) 23:48:05.62 ID:SuKUIl7FO
勇者「僕はパパとママが出ろっていうから旅に出ただけで、魔王復活なんて信じてなかったのに」
僧侶「……」
勇者「僕は魔王が敗れた平和な時代に産まれたんだし……」
僧侶「……」
勇者「だいたい末っ子の僕がなんでこんな……ぶつぶつ」
僧侶「勇者さま……」
勇者「なんだよ」
僧侶「ちなみに私は一人っ子です」
勇者「僧侶……えっ」
僧侶「えっ」
勇者「それで?」
僧侶「……勇者さまには共感できないなあ、と」
勇者「……それわざわざ言わなくてもいいよね、今」
26 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/20(土) 23:52:09.90 ID:SuKUIl7FO
勇者「パパが勇者だったからって勇者を引き継がなきゃ無いなんておかしい!」
僧侶「ご兄弟は何を」
勇者「兄さんは武器屋、姉さんは防具屋の嫁に、僕たけまだ進路が決まらなかったから勇者に」
僧侶「勇者になれるのを羨む者は沢山います、家業を継ぐのを羨むニートもきっと」
勇者「それは昔の話、今は魔王もいなくて魔物もおとなしい平和な世の中だ」
僧侶「今までは、ですがね」
勇者「とにかく魔王が復活だなんて信じていなかった、だから軽い気持ちで引き受けたのに……」
27 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/20(土) 23:59:21.93 ID:SuKUIl7FO
勇者「それに僕には魔王を倒せるはずがない」
僧侶「何故やる前から諦めるんですか」
勇者「だって僕のパパは……魔王を倒していないんだ!」
僧侶「……」
勇者「代々僕の家系は魔王と戦ってきた、倒しては復活しまた倒し、時には負けたり……とにかく繰り返してきた」
僧侶「はあ」
勇者「そしてパパの代で魔王はついに完全に消滅した、魔界と魔王城もろとも」
僧侶「そして平和な時代が訪れました」
28 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/21(日) 00:07:02.04 ID:RnIa5kh4O
勇者「そうさ、だけどそれはパパがやったんじゃないんだ!パパの友達が倒したって僕は聞いてる」
僧侶「……友達、ですか」
勇者「だけどパパはそれを恥ずかしげもなく言い触らして……勇者なのに魔王を倒せなかったくせに……」
僧侶「ですが、それでも勇者です」
勇者「僕はパパを尊敬できない、勇者を誇りに思えない!」
僧侶「勇者さま、私は先代の勇者さまを……あなたのお父様を知っておりますが、立派な方です」
勇者「でも僕は……ごめん、こんな話を君に……少し頭を冷やして来る」
僧侶「勇者さま……」
勇者「大丈夫、すぐ戻るから」
僧侶「あ、いえどうせなら水を汲んできて下さい」
勇者「あ、はい」
29 :源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE []:2011/08/21(日) 00:12:52.88 ID:RnIa5kh4O
勇者「水……これくらいでいいかな」チャプン
勇者「はあ……魔王か」
勇者「魔王と戦うなんて僕には無理だ!」
勇者「だってこの島から抜け出せるかだってわからないのに……」
勇者「魔王だって僕とは違ってやる気満々みたいだし……」
ドサッ
勇者「!」
魔王「痛っ!……ててて、着地失敗……」
勇者「お、お前はっ……!」
魔王「!」