長野県木島平村は運営の民間移行を目指す「馬曲温泉公園」について、引き受ける事業者に建物と土地を20年間無償で貸し付けることを決めた。当初は建物を譲渡する方針だったが、将来の収益性が不透明なところもあり、資産所有のリスクが意識されて思うように事業者が集まらなかった。新たに整備した施設などをそのままで返還できる選択肢も用意し、応募しやすくする。

村は民間移行により、企業の営業ノウハウ活用による経済振興と施設維持にかかる負担の軽減を実現したい考えだ。馬曲温泉公園は1988年に完成し、温泉入浴施設や宿泊施設などがある。これまでに深刻な劣化は見られないが、今後は配管などの老朽化が進むとみられる。貸し付けている間の管理費は事業者負担とし、村の財政負担を抑える。

応募は8月10日まで受け付ける。運営開始後3年間は年間500万円を上限に補助することも新たに盛り込んだ。事業者の希望に応じ、貸付期間を延長することも検討する。2022年度の公募では建物を無償譲渡、土地を有償で貸し付ける要件で実施したが、審査基準を満たす事業者は現れなかった。運営者が決まらなかったことで、施設は23年4月から休業している。