生物は生きるためにエネルギーが必要で、エネルギーは食べ物から得ています。
「食べる餌の量」は、「体の消費するエネルギー量」に比例します。
体の大きな動物ほど、当然たくさん食べ、それだけエネルギー量が大きいはずです。
「エネルギー消費量と体重の関係は、3/4乗に比例する」と言われています。
これは、体重が10倍になるとエネルギー消費量は5.6倍になるという関係です。
普通に考えれば、体重100kgの動物は10kgの動物に比べてエネルギーも10倍必要とし、餌も10倍食べると予想されますが、そうではありません。予想の半分程度しか食べないのです。
エネルギー消費量を体重当りで表してみると以下の通りです。
体重当りのエネルギー消費量は横一線の水平にならず、体重のマイナス1/4乗に比例して右肩下がりになります。
体重の大きな動物ほど、体の割にはエネルギーを使っていないのです。
象のように体の大きな動物ほど、細胞がエネルギーを使っていない、つまり働いていないのです。
生きている基本の単位である「細胞」の働きが、体の大きさで異なっているのです。
象という大きなシステムに属している細胞は、あまり仕事をしていないことになりますが、これは大きな組織の中の構成員はサボっているという現象と通じます。
「分社化して組織を小さくすると、組織が活性化する」とはよく言われることです。
しかし、「体積と表面積の関係」でみてみると、次のようにも言えます。
「体積と表面積の関係」は、簡単に言ってしまうと、「体積が大きくなっても、表面積はそんなに大きくならない」という関係です。これを具体的に説明します。
まず、頭の中に1個のサイコロを思い浮かべてみて下さい。
体積1:表面積6です。
今度はサイコロの体積を元の8倍に増やしてみます。
では、表面積はいくらになったでしょうか。
×体積8:表面積48ではなく、〇体積8:表面積24となります。
以上から分かることは、「体積に対する表面積の割合は、体積が大きくなるほど小さくなる」
という法則です。
「逃げる熱量は表面積に比例する」ので、大きなものほど熱が逃げずに内部こもりやすく、冷えにくいのです。全ての細胞が同じに働くと象は自分の出す熱量でステーキになってしまうのです。
大きい組織の中の構成員は、決してサボっているわけではなく、「働くことを自粛している?」のです。
※「人間にとって寿命とは何か」(本川達雄著)から引用しています。