「アンカー」とは、もともと「船の錨」のことですが、「リレーの最終走者」や、「電子掲示板等で他の書き込みへリンクするためのタグ(=アンカータグ)」等の意味でも使われます。

 

 

心理学では、「アンカー(アンカリング)効果」という使われ方があります。

 

「最初に与えられた情報や数値(アンカー)」が基準になり、その印象が強ければ強いほど、「その後の行動や判断に影響をおよぼす」という心理効果のことを言います。

「アンカリング」あるいは「係留」とは、ボートなどを綱でつなぎ止めておくことです。

 

 

「最初に与えられた情報」「錨=基準」となって、「ある印象につなぎとめる役割をする」ことから「アンカー(アンカリング)効果」と呼ばれます。

 

例えば、「通常価格 198,000円 → 当店限定特価 98,000円」という広告を見てしまうと、通常価格(198,000円)が「アンカー」となって「当店で買えばずいぶん安く買えて得するな」という心理効果を与えることができます。

価格だけではなく、「本日限定」「先着○○名様まで」などのうたい文句も、「アンカー」としての役割を果しています。

 

「アンカリング効果」を活用するためのポイントは、「相手に基準を与える」ことです。 人はものごとを判断する時に、必ず基準を求めます。基準がなければ良し悪しがわからないからです。

 

 

そこにあらかじめ「一定の基準」を与えておけば、「それを上回る結果」を見せたときに相手の印象をよくすることができます。 上の例で言えば、「一定の基準」が通常価格で、「それを上回る結果」がそれより10万円も安く買えるということです。

 

ただ価格を表示するのではなく、「通常価格」「特別価格」を並べることで、商品を安いと感じさせることができるのです。 

 

同じものの値段を安く見せることのできる点で、「アンカリング効果」は効果的ですが、 通常価格を嘘の高価格に設定することで、値下がりが大きくてお得なように見せかける表示手法に使われることもあります。


 

このような不当な通常価格を設定した上での「二重価格表示」は、「景品表示法」により厳しく取り締まられています。 

 

 

私たちは、この「アンカリング効果」を知ることで、「故意に与えられた基準」に惑わされず、賢く買い物をしましょう。