8000万年前、厚い皮の爬虫類から薄い皮の哺乳類が生まれました。爬虫類はウロコを持つ厚い角質層でヒフを守っていましたが、哺乳類はウロコをなくし角質層を薄くして、そのぶん失われた角質層を毛に変えて体が冷えないよう、地球の寒冷化に対処しました。
角質層を補強するには皮脂を出さなければなりませんが、あまり出すぎると毛がよじれて保温できなくなります。だから哺乳類には舌で毛をなめて、余分になった皮脂を取る習性ができたのです。皆さんも家庭で飼っている犬や猫が、このようなしぐさをするところを見たことがあると思います。この時、犬や猫は、とっても気持ちよく感じています。人間も同じですね。洗浄剤で脂を洗い流すと、気持ちよく感じてしまいます。
暑くて皮脂が出て顔がべとべとしたとき、おしぼりでぬぐってみると、さっぱりして気持ちがいいですね。洗浄剤で洗わなくても、水でぬらした布でぬぐう程度でも、気持ちよく感じます。
髪を洗うのに石鹸を合成洗剤(シャンプー)にかえ、洗顔するのに石鹸や洗い粉を合成洗剤(クレンジング、洗顔フォーム)にかえて脂をより多く洗い流すようにして気持ちよくなりました。これが1950年代。しかし、そのぶんヒフが弱くなってしまいました。
またポマード(脂製)ではなくリキッドやムース(合成樹脂)で整髪するようになり、基礎化粧品をクリーム(脂製)から新型のクリーム(合成樹脂)にかえて気持ちよくしました。
化粧品がこのように変化してきたのは、そのほうが化粧品が売りやすかったからです。
皮脂を取り、脂を使わなければ気持ちよく感じます。気持ちがいいと女性はヒフにもいいものだと勘違いしてしまいます。だから売れるという事情があります。でも、ヒフはますます弱くなってしまいます。
脂と違って合成樹脂なら酸化防止剤もいりません。そして、香料も防腐剤も同じように必要ありません。人は無香料・無添加なら自然で安全だと勘違いします。これが自然化粧品のカラクリなのです。