1月末で閉院するブルドッグ先生のクリニック。
ギリギリの閉院1週間前に最後の診察。
ちょうど丸5年だ。
何かしらのお礼がしたくてお酒好きなブルドッグ先生の為にミニワインのセットを持って行った。
そして、カウンセリングも終わり名残惜しくて寂しくて2人で写真を撮った。
「あーこんな事は初めてだな」
と照れ笑いの先生。
「先生、泣くから早く会計してー」
と言いながら、感謝感謝でお別れしてきた。
この時に、「これ次のクリニックで渡して」
と言われてもらった紹介状。
この紹介状があとで私のバタバタを呼ぶ事になる。
それから薬が無くなる10日前に合わせて、いや違った。
なんのキッカケだったか?
激しいパニックを起こしたんだった。
ワイパックスの減薬をした事によるパニックだ。
数日間、激しい思い込みとほぼ妄想、ご飯がほぼ食べられずただひたすら湧き上がってくる不安でパニックを起こしたのだ。
もうなにがなんだか分からないまま、とにかく新しいクリニックに電話をしないと…
そして電話。
薬が無くなる10日前に予約が入った。
良かったー…
それから数日してなんとかパニックは治った。
そして、予約当日。
ビルの中にあり、エレベーターを降りると小綺麗で異様に広いクリニックが目の前にあった。
静かな雰囲気で、受付には2人の女性。
どちらかがパニックになった私の電話を取った人だろう。
ご迷惑かけてすみません。と言い、保険証にお薬手帳、すでに手続きが終わって手元に届いていた自立支援のカード、それと肝心な紹介状を渡した。
問診票を書き、奥から60代前半と思われる女医さんが出てきた。
呼ばれて1番奥の診察室へ通される。
私が椅子に座る前にきちんと自己紹介してくれたその女医さん。
丁寧だなぁと思いながら私も自己紹介して椅子に座った。
「さて…」
この一言の後、この女医さんが一変してしまった。
初めからにこやかではなかったけど、
「うーん」と言って頭を抱えてしまっている。
眉間には深いシワ。
何度も何度も紹介状を読み直している。
そして、私の方に向き
「ごめんなさい。ハッキリ申し上げて私は発達障害の方も、このストラテラというお薬の扱いも知らないんです。
鬱や他の部分に関してなら診てあげる事は可能だけれど、肝心なところが診てあげられないのでそれでも良ければ今までの処方通りのお薬は出せます。」
「えっ?でもブルドッグ先生をご存知なんですよね?私はご夫婦でやっているクリニックで院長先生が診察してくれて、副院長先生が発達障害のデイケアかなんかをやっているよ。と聞いてきたんですが…」
「いやー私はその先生に一度か二度お会いしただけですね〜‥」
「はぁ…」
「どうなされますか?」
「はぁ…どうしましょう……」
頭真っ白。
紹介状ってなんのため?
これっていわゆるブルドッグ先生の勘違い?
結果、そういう事なんだけれど…
閉院している所に電話したところで通じるワケもないし、と悩んでいると
「ちょっと院長先生に訊いてみますね。
待合室で待っててください。」
と言われたので言われたまま待っていると、
紹介状とカルテを持ってまた奥から出てきた副院長先生。
首を横に振った。。
「ごめんなさい。やっぱりうちでは診れないと…。でも、どうしても病院が見つからずに困ったらうちに来てください。つなぎでもお薬だけでも処方しますよ。」と今度は笑顔で言ってもらった。
「ちなみにですけど、発達障害を診てくれる病院はご存知ですか?」
と訊くと
「いや〜分かりかねますね〜」
もうこれ以上ここにいても仕方ない。
さっさと帰って一から病院探しをしなければ!
「ありがとうございました。どうにもならなかったらまた相談にのってください。
お忙しい中、お時間頂きまして申し訳ありませんでした。」
「今日は診察も何もしていませんから、診察代はいりません。」
「ありがとうございます。失礼します。」
と、狐につままれたような気持ちでエレベーターに乗った。
車に乗り、しばらく呆然としていたがとにかく早く帰ろう。と車を動かした。
今でも、ブルドッグ先生のあの自信に満ちた表情でこの病院を紹介してくれた意味がわからない。
最近、物忘れがひどくてと笑っていたが本気でそんな感じだったのだろうか?
なんだかドッと疲れて帰路についたのだった。
そして、この帰り道
「相方が壊れた」に繋がるのである…
つづく