こんにちは。くろしばです。

今回は、皆が悩まされる準防火地域による制限と省令準耐火建物問題について書きたいと思います。

先ずは防火地域・準防火地域による制限についてです。


防火地域・準防火地域とは、建築基準法及び同法施行令により構造に制限が加わる地域となります。

くろしば家のある準防火地域では、2階建ての場合、延焼のおそれがある部分の外壁や軒裏を防火構造にする等、一定の防火措置をとる必要があります。

具体的に言うと、窓や玄関については国土交通大臣の認定を受けた防火戸を使用する必要がありますが、これが「高い、種類が少ない、格好悪い、性能が低い」の四重苦なんです。
家の窓はほとんどがペアガラスの樹脂サッシ「APW330防火窓」ですが、トリプルサッシのAPW430の倍ほどします。


よって、窓のサイズがないカーテンウォールと、


木製引戸を使いたい玄関は、防火シャッターを仕込むことで防火対応を図っています。

このため、カーテンウォールについては網入り窓ではなく、透明窓を使用できるようになりました。
 

続いて梁についてです。

くろしば家の2階には構造の関係で梁が現しになっており、一種のアクセントになる予定です。
準防火地域の2階建てならば、燃え代設計で梁現しは対処できます。いや、できるはずでした。


しかし、ここで問題になるのが、省令準耐火建物という構造です。
保険料が減免されるため、くろしば家では省令準耐火で設計する予定でした。

この省令準耐火、言葉としては耐火建物・準耐火建物とそっくりですが、似て非なるものになります。

ざっくり言うと、耐火建物・準耐火建物は、建築基準法による「必ず守らなければならない」制限であり、謂わば「ムチ」となります。
一方、省令準耐火建物は、財務省の省令に基づくものであり、火災保険料が減免になる「アメ」になります。


構造上は、上記の表にある通りの違いがありますが、省令準耐火建物は防火戸を使用する必要がなく、防火地域・準防火地域以外でも建築することができます。
資料を作っていて思ったのですが、省令準耐火構造は誕生の経緯といい、拡大の流れといい技術的な整合性はあまりとれていないように感じました。


問題となるのが、梁現しに必要となる資格についてです。

燃え代設計による梁現しを実施するためには、日本木造住宅産業協会(木住協)に加入し、木住協の実施する講習会に参加する必要があります。(当然有料です。)

これに反発したのが我らが先生、「燃え代設計なんて誰でも設計できるのに、何故そんな制限をかけるのか理解できない」とおかんむりでした。
「僕に言われても困るな」と言うのが正直な感想なのですが、住宅産業の闇を感じる話ではあります。

結局、我が家は省令準耐火構造は不採用となりました。

ランニングコストは上がりますので、次の施主のためにも先生には木住協に入ってもらうべきだったのかも知れません。