今日の夜、日本に到着しました。
普段は深夜便に乗り、朝到着していることが多いので、
景色が違って、とても新鮮な気持ちでした。
いつもは深夜なので、飛行機の中ではできるだけ寝るようにしているのですが
今回はほとんど寝ないで仕事したり、時々映画を見たりでした。
ずっと起きていると機内が乾燥しているので、
結果、ずーっと何かを飲んでいる状態。
そのため、我ながらトレイの回数が多い(笑)
まるでビールのがぶ飲みしてる人みたいです。
そんなわけで、トイレ行きたいな、と思って席を立った時
機長のアナウンスが入りました。
”これから気流の悪いエリアに入ります。目の前には大きく揺れそうな雲が厚く広がっております。そのためこれよりシートベルトサインを点灯します。
この雲を抜けるのに、およそ15分程度かかる見込みです”
とのこと。
えっっと思った時、ちょうどトイレの前だったんです。
中から他のお客様が出てきた時、ダッシュで入ろうとしたら客室乗務員にとめられました。
そこでお願いしてみたんです。
”あのー15分くらいかかるんですよね?急いで行ってもだめですか?”
すると、いつもはにこやかな笑顔のその女性が、きっぱりと言ったのです。
”お客さま、大変申し訳ありません。
この雲はかなり揺れるとの情報があります。
突然の揺れが来た時に、大変危険ですので、誠に申し訳ないのですがお席にお戻りいただけますでしょうか。
私共も、着席いたします”
そのゆるぎない表情を見て、席に戻りました。
本当はけっこうトイレに行きたかったのですが、ここはしっかりと指示に従うべき時なのだ、と思えたのです。
ちょうど私の席から客室乗務員の席が見える位置だったのですが
先ほどまで集めていた飲み物などのごみを入れた袋を、さっとトイレに入れていました。普通ならギャレーにいれるのに、変だな、とちょっと思ったんです。
そして、その方はエプロンも外さぬまま早々に座ると、私に目で表情で、
”申し訳ありません”と伝えてくれました。
そして、ベルトサインが消えると、私にすぐアイコンタクトをおくり、そのままトイレのドアを開けてごみを出しながら、私をそのまま通してくれたのです。
”お客様、ご協力ありがとうございました。どうぞ!!”
もしかしたら、ごみをわざわざトイレに入れたのは、他のお客様が先に入ってしまわないように、との配慮だったのかもしれません。
この方の態度を見ていて、プロだな、と思いました。
役割として、言うべきこと、譲れないことはきっぱりと伝える。
客室乗務員として、安全管理上の立場から、ここがぶれてはいけないのです。
でも、お客様の気持ちもありますよね。
状況を見て、どうしても我慢限界であれば使わせてくれたのかもしれませんが
私の様子から待ってもらっても大丈夫だ、と瞬時に判断したのでしょう。
そのうえで、どのようにすれば、私の気持ちをくみ取り、気持ちよく協力してもらえるか、を考えての態度だったかな、と思いました。
さすがですね。
サービスというと、とかくお客様の言い分をくみ取ることに注力するあまり、
言うべきことが言いにくくなってしまうことがあります。
でも、本当にお客様にとってのベストは何なのか、
これを瞬時に判断する力、
そして、判断を気持ちよく受け入れてもらえる力
これこそが接客の真髄なのかな、と思ったのでした。
その在り方に、見習うべきところが多くて、また、ご一緒したい方でした。