めざせ頂上!!(後編)
富士登山記…これまでのエピソードは以下の通り(クリックOK!)
エピソード①…「ノリだけで生きてます」 (富士山登山を思いつく)
エピソード②…「自分的には用意周到」 (富士山登山の準備)
エピソード③…「本当にいいのかなぁ?」 (富士山・出発直前)
エピソード④…「無事帰ってまいりました」 (富士山・帰宅直後)
エピソード⑤…「めざせ頂上!!その前に。」 (富士山登山記・挫折)
エピソード⑥…「めざせ頂上!!(前編)」 (富士山登山記・前編)
えーまぁ要するに、↓ココでお酒が飲みたかったんですよ。
富士山のてっぺんを目指したわけなんですね。
エピソード⑦…「めざせ頂上!!(後編)」
(前編のつづき)
俺たち嵐の登山中!!
(左:はまじ 中央:けいじ 右:なり 撮影者:シンゴ)
9月12日午前0時30分。
7合目のトイレに避難して1時間以上が経過した。
雨は依然として降り続いてはいるものの、かなり弱くなっている。
これはもしかして、晴れるかもしれない…!!
そんな期待が僕らの胸をよぎった。
雨が上がらなければ、せっかく頂上へ行ってもご来光が見れない。
雨さえ上がれば、今の時間、夜空には満天の星空も見えるはずだ。
とにかく、天候は神のみぞ知る。僕らは、信じ続けて登るしかない…。
この時間からだった。にわかに7合目が騒がしくなったのは。
7合目の山小屋で一晩を過ごしていた登山客たちが起き出したのだ。
総勢15名くらいだろうか。(正直、こんなに人がいるとは思わなかった)
彼らは恐らく、前日の昼間(嵐が来る前に)7合目まで登ってきた人たちなのだろう。
僕らが避難していたトイレを出入りするようになった。
そんな中で、僕らに話しかけるひとりのおじさんが現れる。
おじさん:「○★◎∂⇔♂℃▼〒☆?」
我々 :「は????」(なに言ってるかわからん!)
おじさん:「◎◆▲△□$≧*@」
我々 :「おぉ!この人外国人か!!」
暗くて顔が分からなかったが、どうやら西洋人のようだ。
はまじ :「うーん。どうやら、てっぺんまであとどれくらいあるかってきいてるようだな」
シンゴ :「ここからだったら、あと4時間くらいかけて登らないとな」
はまじがカタコト英語で言う。
はまじ :「あ~。えーと…フォーあうあーず!」
おじさん:「??」
はまじ :「だから…4 hours!!」」
おじさん:「…Oh! Thank you!!」
はまじ :「通じた…。俺、イーオンやってたのに自信ねぇ」
ほっとしたのもつかの間。おじさんがまた喋りだす。
おじさん:「☆〒※&▽%■$△…Wait for 10 minutes!」
一同 :「おぉ。最後の英語だけ聞き取れた」
おじさんは山小屋へ消えていった。
はまじ :「たぶん、一緒に行きたいから、10分待ってくれってことなんだろうなぁ」
シンゴ :「そうだね。待っててやるか」
…10分後。
おじさんは、奥さんらしき人と一緒に山小屋から出てきた。
ニッコリと笑って、笑顔の挨拶だ。
おじさんも、おばさんもおそらく50代くらいだろう。
悪そうな人でもないし、ここは日本代表として、我々はこの西洋の夫婦を護衛することにした。
「じゃあ、いくか!」
「Let's go!!」
9月12日午前1時00分。
7合目出発!!
こうして、日本人4人と西洋人夫婦の奇妙なパーティーの冒険が始まった。
7合目からは、ほとんど崖のような急な登り坂が続き、5合目のような平坦な道はなくなった。
そんな中でも、西洋人夫婦は、しっかりとした足取りでついてくる。
おじさんはペースが速い。
前編で話したとおり、あまり速いペースで登ると、後で後悔する羽目になるので、カタコトの英語でなんとかペースを落としてもらった。
僕らは、特に西洋人夫婦の奥さんの方に気遣いながら歩いた。
時々休憩を挟みながら、僕らと西洋人夫婦は語った。
どうやら、この夫婦はベルギーからきたらしい。
3週間の滞在予定で日本を旅行し、富士山を登ったあと、京都に行くのだそうだ。
お互い、旅の思い出人なので、名前こそ聞かなかったが、僕らは彼らのことを「ベルギー夫妻」と呼んで慕った。
互いに助け合いながらの登山は、一気に心の距離を縮める。
見てください。はまじはまるで親子のようになっています。
ついでに言うと、僕のヘッドライトは奥さんがつけています。
(写真をクリックすると拡大できます)
そしてきました!!8合目!!
頂上まであと1時間50分!!
もうすぐだ!!ここまできてお腹が空いてきた6人。
ここの山小屋で食料を調達します。
外国人と一緒に食べるものといえば…
カップヌードルに限ります。(まさに"No Border")
ちなみにカップヌードルは1コ500円でした。
しかしここで食べるカップラーメンは
世界一うまいカップラーメンだった。
そこからさらに登ること30分。
このとき!!
奇跡が起きた!!!!
ついに富士山が晴れた!!!!
一同:「うおおおおおお」
「なんだこの星空は!!」
もう、見上げればそこは、空ではなかった。
宇宙だ。
ひとつひとつの星がでかい。
見えない星までもが見える。
北海道でも見たことがないほどの星空だった。
「星が降ってくるようだ」とはよく言ったものだが、まさにその通りとしか言いようがない。
流れ星もいくつも見える。
これだけでも、富士山に登った甲斐があるというもの。
登山道の途中で、僕ら6人は10分ほど呆然と天を見上げていた。
それから10分後…。
本8合到着!!
頂上まであと1時間ちょっとだ!!
がぜん気合が入る僕たちに、忘れかけていたヤツが現れる。
不幸の男神。ミスターアンラッキー。
嵐を呼ぶ男・はまじ。
はまじが突然叫ぶ!!!!
キタ――(゚∀゚)――ッ!!
!!!!!!
一同:「ど…どうした!はまじ!!」
はまじ:「はははは!!!やべぇ!!!
高山病キタ―――――――(゚∀゚)――――ッ!!
アタマ痛ぇ!!!めまいする!!!泣」
けいじ:「マジで??大丈夫か??酸素吸え酸素!!」
はまじ:「(酸素ボンベで)シュゴーシュゴー」
けいじ:「どうだ??」
はまじ:「うむむ…あんま変わらん。酸素さえあれば最強だと思ってたのに。泣」
けいじ:「やばいなぁ。顔色悪いぞお前」
はまじ:「ちくしょう。本8合に来た瞬間にめまいが来た」
けいじ:「やっぱ空気薄いんだなぁ。てかさぁお前、
ゲリにはなるわ高山病にはなるわでふんだりけったりだな(ブハハ)」
はまじ:「……(なみだ目)」
けいじ:「帰れば??」
はまじ:「うそーん!!ここまできて!?」
けいじ:「嫌なら行くぞ。歩け」
はまじ:「お…おう…(涙)」
こうして、僕らのファイナルステージが始まった。
夜明けまであと少し。
時刻は9月12日午前4時00分。
山頂はもう目の前だ!!
上を見れば、宇宙が広がり、冬の星座が見えた。オリオン座の下に、煌々と輝くマイナス1.4等星のシリウス。真上にはスバルが普段よりもずっとはっきり見える。星好きにはたまらない環境だろう。
下を見れば、下界に人間の世界…街の灯がいくつも見える。
遠く遠くまで、普段なら見えない山の向こう側まで見える。ずっと奥は恐らく東京の夜景だろう。そういえば、早稲田大学の14号館の最上階からも富士山が見えたっけな…。そんなことをふと思い出す。
幻想的な暗闇を一歩一歩登る僕ら。
高山病で限界間近のはまじ。
僕らは、最後の力を振り絞って、登り続けた。
最後の頂上までの道のりは、近いようで遠い。そして、空気が薄い。
頭が重くなり、目が痛くなる。疲労も溜まる。
でも、もう嵐はない。冷たい風も吹き付けない。
富士山は穏やかに、僕らを歓迎していた。
次第に東の空が明るくなってきた。
やばい。夜が明ける。
ご来光に間に合わせなければ…。
シンゴとなりもベルギー夫妻を気遣いながら、登っていく。
休み休みでも、着実に登り、はやる気持ちを抑えながら前進し…
ついに…
登頂!!!!!!
(左:はまじ 右:けいじ)
うおおおおお!!!!!やったー!!!!!
登頂時刻9月12日午前5時00分。
予定通り、ばっちりご来光前に着きました!!!
イエーイ!!!!!
一緒に登った仲間たち。
みんな達成感でいっぱいです。
人間の精神力というのはすごいもので、このとき、完全に精神が肉体を凌駕した気がします。
登頂を果たした瞬間に、高山病だとかめまいだとか吐き気だとかゲリだとか、全て忘れちゃったんですよね。
はまじがハイテンションだったのにはびっくりです。
応援してくれたみなさん、心配してくれたみなさん。友達、家族…本当にありがとうございました。
おかげで私けいじは、最悪な23歳最後の日と最高な24歳最初の日を迎えられました。笑
…と、まとめに入るかと思いきや。笑
まだまだ続きます。
さぁ幾多の困難を乗り越え、ついに富士山の頂上へ登りつめた我々…。
一体ここで何をしたのか??
それについてはまた次回。
次回の「魔運天富士」をお楽しみに~!
つづく。