めざせ頂上!!(前編)
軽いノリのギャグも吹っ飛ぶような嵐の夜に我々げんかや14号店メンバーは、富士山の頂上を目指しました。
大雨洪水雷注意報。
これでもか!ってくらい最悪のコンディションに
なんか笑えました。(ハハハハ)
ザーザー
ではなく
ドゴゴゴゴゴ…
と車のフロントガラスを叩く雨。
車のワイパーが異常な速さで行ったり来たりしてました。
僕らが登る予定の登山道は河口湖口。
車で富士スバルラインを通り抜け、河口湖口の駐車場に到着。
途中、あまりにも激しく狂ったように雨が降るので、スバルラインの料金所のおじさんに富士山に登っても大丈夫か聞いてみました。
おじさん:「いやぁ。雨でも登る人はいるけどねぇ~。でもねぇ~この雨はねぇ~…」
我々 :「…そうですか~」
なるほど。
要するに
登れるっちゃ、
登れると(・∀・)
(料金所のおっちゃんに一応遭難したら助けてくれと言っておきました)
午後8時。
河口湖口に意気揚々と到着した我々4人。
あたりを見回して我々一同は、感嘆の声をあげる。
一同:「お~!」
「見事に誰もいねぇ!!」
(真っ暗)
一番人気のはずの河口湖口も、ところどころにライトがついているだけで、店は全て閉まっていた。
というのも、富士登山というのは、7~8月がピークで、9月それも9月の中旬ともなると登山客は一気に激減するらしい。
客がいなけりゃ店も閉まる。もうこの時間にはどの店もやっていなかった。てか人っ子ひとりいなかった。(大雨洪水雷注意報だしな)
さっそく登山準備をして、登山口へ向かう我々だったが…真っ暗で登山口がどこにあるかわからなくなる。
(軽く駐車場で遭難しました)
駐車場をぐるぐる回ってやっと見つけ出し、いよいよ登山開始!!
9月11日午後20時22分。
いざ出陣!!
このときの僕たちはまだ甘かった。
雨はそのうちやむだろうとか、雲の上まで登ればなんとかなるだろうとか思っていた。
しかし。
雨は無情にも勢力を増すばかりだった。
一時期は目を開けることが出来ないほどの集中豪雨となった。
せっかくリュックに入れてきた着替えも、あっという間にリュックごとずぶ濡れになってしまった。
なぜこんなにもひどい雨となったか?
答えはただひとつ。
コイツがいたからだ。
げんかやメンバーの間では、本気ではまじをお祓いに連れて行く計画が持ち上がるほどである。
まさに不幸の元凶。
幸福の女神と対局に位置する不幸の男神。
ミスターアンラッキー。
<はまじの嵐を呼ぶ実例>
①昨年の就職活動中、コネ入社の話があり、はまじはある会社のお偉いさんと会うことに→面会直前にお偉いさんが倒れ、意識不明の重体。コネ入社は白紙。(最近、そのお偉いさんは目を覚ましたそうです)
②警備員のバイトではまじが橋本真也を警備→脳梗塞で死亡(あまり洒落になりませんが)
③はまじの故郷は函館の隣町の上磯町→合併により消滅
④はまじの学部は第二文学部→学部統合により消滅
就職活動をすれば100社落ち、
車の免許では10回も落ちる男。
ありえない不幸ぶり。
最近では「はまじの家に行くと、帰り道ずっと背中が重い」などという証言も聞かれます。(絶対なにかとりついてる)
登山中、当然はまじに批難が集中します。
けいじ・なり・しんご:「はまじ!嵐まで連れてくんな!なんとかしろ!」
はまじ :「す…すまん」
(はまじ自身、自分が不幸の元凶だと気づいてます)
昨日、富士山から帰った後、なりからげんかやメンバーにメールが回ってきました。
>昨日は帰ってすぐ寝、さっき起きました。
>疲れがたまってたみたいで、車の中爆睡で、すんません。
>けいじ、しんご富士山連れて行っててくれてありがとう。
>はまじ、大雨と雷、連れて来てくれて、ありがとう。
>(死ぬと思った)
はまじの負のオーラは誰も疑うことはありません。
富士登山を始めて数分後、不幸の男神が本領を発揮する。
はまじ:「うぅ…ハラ痛い…ゲリだ」
けいじ・シンゴ・なり:「うるさい我慢しろ」(一刀両断)
ただでさえ豪雨の中大変なのに、今さらはまじのゲリ(ラ)活動にかまってる暇なんぞありません。僕らはズンズン登りました。
登ってる最中、はまじが「ゲリゲリ、ゲリゲリ」言うので、途中から全員無視しました。(鬼)
そうそう!富士山といえば、標高が高いために気圧が低くなることで有名ですね。
気圧が低いとどうなるか??ためしにポテトチップスを持っていきました。
ほーらこんなにパンパン!(一度やってみたかったんです)
気圧が低いために、袋の中の空気が膨張してこうなるんですね。
富士山だと、これと同じ現象が体内でもおこるって知ってました??
腸のなかの空気が膨張して、おならが出やすくなるらしいんですよ。
そこで登場・嵐を呼ぶ男。
はまじ氏。
一歩あるくごとに
(ブー)
ひとつ登るごとに
(ブー)
…(ブー)
けいじ・シンゴ・なり:「はまじうるせぇよ」
はまじ :「す…すまん。でも止まらん(ブー)」
はまじ、屁を連発。最悪です。
シンゴ:「はまじ!うるさいからせめてスカシにしろ!」
なり :「はまじ!ゲリで屁をこかれるとムッチャ臭いねん!」
けいじ:「はまじ!俺の前を歩くな!屁が顔に直撃だ!泣」
批難轟々。
しまいには
はまじ:「うははは。日本一の山で日本一の屁だ!(ブー)」
最悪です。空気が薄くて正常な思考ができなくなったようです。
せっかく雄大な自然に囲まれていたのに、会話の程度が低すぎました。
こんな会話をしている間も、豪雨は僕らを襲う。
貧乏学生のために、装備もままならない状態の登山。僕以外は全員スニーカー。
靴は泥まみれになり、水もしみる。靴下も登山用の厚手のものではなく、ただの靴下だ。
防寒着も完全ではないために、豪雨にさらされている僕らは、容赦なく体温を奪われる。
さっ
寒い!!!
激寒だ!!!!!!
(シャレにならん!!)
歩いている最中はまだ大丈夫だが、途中で止まって体を休めると、あっという間に体が冷えてしまう。
ガタガタ震えるほどだ。全員、真っ青な顔をしていた。
しかし、ふと来た道を振り返ると、
眼下には雄大な夜景が広がっていた。
いくつもの街の灯がみえる。はるか遠くの街まで見えた。
息を呑む4人。まだ6合目に達してもいないのに、かなりの高さだ。この景色に勇気をもらい、僕らは再び山頂目指して歩き始めた。
そして、ついに最初の目標値である6合目到着!!
奇跡的に開いていた山小屋の店で食料を買い、一休みする。
しかし、山小屋にはお金を払わないと入ることは出来ない。
僕らは雨の中凍えながらパンをかじった。
山小屋の主人に情報をもらう。
けいじ:「そういや、登山客を全く見かけないですけど、登っても大丈夫なんですか?」
主人 :「そりゃもう9月だからね。登ってもいいけど、今日だって団体さんを入れても20人くらいしかきてないよ。」
けいじ:「たった20人!?それだけ??」
主人 :「そうだよ。もう稼ぎ時じゃないから、ほとんどの山小屋も閉鎖しちゃってるよ。しかも今夜はこの雨だからねー。登る人はいないね」
けいじ:「ですねー(゚▽゚)ほぇ~」
やっぱりこの雨の中の登山は無謀だったのか?
そういや、4人中3人は初めての登山。(で、いきなり嵐の富士山挑戦)
唯一の登山経験者ははまじただ一人。
はまじがどこの山を登ったか聞くと、返ってきた答えが
函館山。
(標高300メートル)
それ全然登山じゃねぇよ。と批難轟々。しかもロープウェイでいける。
(富士山は標高3776メートル。函館山の12倍以上あるわけです)
6合目を出発するとき、山小屋の主人に忠告された。
「君たちのペースは速すぎる」と。
このときまだ22時。
これでは山頂には夜中の3時頃についてしまう。
それではだめだ。
…なぜか?
僕らが山頂に着きたいのは朝の5時頃。山頂から日の出を見るのが目的だ。
早くつきすぎると、何時間も山頂で待ちぼうけを食らうことになる。
そうなると最悪。今の季節、山頂は0度前後まで冷え込む。
今日も東京は最高気温34~35度まであがったが、そんなところで生きている今の僕らに0度はかなりキツイ。
「だから、ゆっくり登れ」
主人はそう言った。さらに
「6合7合は斜面が急になるが、まだ空気があるほうだから楽だ。
でも8合目から木々がなくなり、空気が一気に薄くなる。ここからが正念場になる。心してかかるように…」
そう言われた。
僕らは彼の言葉をしっかり受け止めて、6合目をあとにした。
寒い。寒すぎる。
容赦ない雨に僕らは本気で天を呪った。
なんでよりによって今日、こんなに雨が降るんだ…!
神様、そりゃないぜ…!!!
ちくしょ~まじ寒い!!!
冗談ではまじを責めたりしていたが、内心は全員本気で神様を恨んでいたに違いない。
後日談ではあるが、なりは本気でちょっと泣いていたらしい。
でもそれも分からないでもないハンパじゃない嵐と寒さだったから。泣
だが、僕らはノリで富士山にきたからには、ノリで登頂する意地がある。
寒さにひたすら耐えながら、でも努めてゆっくりとしたペースを保ち、気合で7合目到達。
キター!!!!!!!
時刻23時30分。
ここで休憩。
みな凍えながら山小屋と岩場の隙間に入り込んだ。(何度もいうが、山小屋はお金がないと入れてくれない。泣)
台風15号の風なのか、冷たい風が吹き付ける。男4人は、身を寄せ合って寒さに耐えた。
ここでシンゴがボソッと言う。
シンゴ:「火がほしい…」
みんな口々に言う。
なり :「あったかーい温泉に入りたい…」
はまじ:「焚き火してぇ…」
けいじ:「ティーヌンのラーメン食べたいよ…」
寒いっていうか、ひもじい。
シンゴ:「誰かマッチもってないの?」
なり :「持ってないなぁ」
シンゴ:「ねー、マッチつけたらラーメンとか見えそうじゃない…?」
一同 :「お~。今なら絶対見える」(目がうつろ)
全員限界が近いようです。
その後、マッチ売りの少女状態は10分ほど続き、みんなマッチをつけたら何を見たいだとか、ドラえもんのアイテムがあったら何が欲しいとか口々に言ってました。(かなりヤバめの現実逃避)
それから全員、我に返り、リュックに入れていた、最後の切り札を登場させる。
最後の防寒着。みんな貧乏性なのか、切り札を持っていた。
セーターやコートを出し、最高の装備に切り替える。
まだ少し寒気はするものの、これまでよりは格段にパワーアップ。
全員、テンションが上がった。
シンゴ:「これで山小屋に入れてもらえればなぁ…」
なり :「やねー。雨風がしのげるところがあれば…」
と、愚痴っていた瞬間…
はまじが言う!
はまじ:「おい!ここにみんなが入れる小屋があるぞ!!」
ナニィ!!!!!
確かにあった!!かなり新しい。誰もいない。入っても怒られないのか!?
よくよく見ると、そこはトイレだった。
「おお!!なんて立派なトイレなんだ!!」
全員、ここで一時間以上居座ることにした。
最高の避難場所を手に入れた我々は嬉しさのあまり、記念撮影。
奇跡のトイレ。
ここで休めばかなり体力回復できる。
しかも、頂上に早くつきすぎることもない。
まさに、天からの救いのトイレだった。
俺は生涯これほどトイレを愛しく思ったことはない。
ああっと!!
ここで気づけば9月12日0時00分!!!
私・けいじ、
この時点で24歳の
誕生日を迎えましたー!
トイレで。泣
ま…まぁいいか!!!
0時を回ったと同時に、たくさんのバースデーメールが僕の携帯に届きました。(富士山は意外にも携帯の電波が届くんだよね♪)
送ってくれた家族・友達のみんなありがとうございました!!!
とても幸せでした。(トイレだけど)
ただね、みんなに返信したかったんだけど…豪雨に打たれまくってたら、
携帯が壊れた。泣
ときどき使えるんだけど、画面が消える。あぁさすが富士山。ここでも私に試練を与えるか…。
富士山は僕を一回りも二回り大きくしてくれました。
24歳最初の写真。
左:なり 中央:けいじ 右:はまじ
こうして僕らは7合目を過ごした…。
そして9月12日午前1時00分!!
それからまた出発!!
更なる高みへ!!!!
いってきます!!
富士登山後半戦スタート!!
あ…あれ??なにか見慣れない人の顔が…。
仲間が増えてる???
しかも…外国人だ!!!!
なんと僕ら4人のパーティーに、外国人が2人仲間に入りました!!
どういうこと!?
それはまた次回!!!
富士登山記「めざせ頂上!!(後半)」へ続く!!
お楽しみに~♪