私には昔、なかなか気のいい友達がいた
おもしろいやつらなので、皆さんに紹介しよう
名前を「クロ」と「チビ」と言う
そう、 犬 親子の雑種犬
まだ、世の中は犬がリードをつけず、
自由に歩き回ることが許された時代
彼らはいつも親子二人で、街中をかっぽしていた
ちなみに「クロ」「チビ」とは私が勝手に決めた呼び名で本名は知らない
飼い主に会った事もないので、真相は闇の中だ
(首輪をつけていたのだけが飼い犬の証)
ただ、彼らは私がそう呼ぶので
私と会った時はその名でいこうと思ってくれていた様子
一応、言っておくが私は、
犬しか友達になれない暗いヤツではナイ
彼らとは、よく道であって話をした
ナデナデ、ヨシヨシという
犬に向けてのかわいがり方ではなく、
文字通り話をした
はたからみたら、私のひとり立ち話に見えただろう
よく信号待ちをしてる「クロ」「チビ」に遭遇した
「どこ行くの 」と聞くと
二人は決まって、笑顔でこう答えた
「その先の公園に行くの 」
「matuちゃんは 」
「私は、今から家に帰るとこ」
「ふーん」
「じゃあ、気をつけて行って来てね~バイバーイ 」
彼らは、もう一回私に笑顔を向けて、しっぽをふた振りして
信号が青に変わると、
とうりゃんせの音楽と共に二人は渡って、公園に向かう
たまに、私の家の庭に親子二人でぷらーっと
「matuちゃんいる~ 」とやってくる
「なーに 」
「散歩でそこまで来たから、
matuちゃんいるかと思ってね~寄ってみたの」
じゃあねー
と去っていく
(ほんとにそれだけで去っていく)
道端で会えばお腹を私に見せて
「ご機嫌だね、今日」
という会話をして、彼らは尻尾をふた振りぐらいして別れる
ここまで書いたが、
私は特別彼らに餌をあげていたわけでもないし
よーしよしよしとムツゴロウばりの
かわいがりを見せていたわけでもない
ただ、気があったんだろう
リードフリーの時代は、我が家も例外でなく
飼っていた犬が自由にご近所付き合いができた
毎朝、散歩の途中の我が家にお茶を飲みにくる、おじいさんがいた
そのおじいさんが亡くなって、
いつもの時間に我が家に現れない
うちの犬は、しばらくの間おじいさんの家まで、
毎朝迎えに行って玄関先で待っていたらしい
その家に遊びにいったことなんかなく、
たまたまいつだかココがいつもくるおじいさんの家だよ
と教えたを覚えてみたいだ
まあ、犬嫌いの人もいるのでリードは必須だと思うけど
人も、犬も近所付き合いがあった時代なかなか面白かったな