今年の2月のこと。
夕飯時、茶碗を洗っていたら、突然目の前が「水の中に墨汁を1滴たらしたよう」になった。
まさにこんなかんじ。
びっくりしてソファーに倒れ込み、「ヤバいヤバいヤバいヤバい……!」とまくし立てる私に、「なにがヤバいの!?」とオロオロする夫。
しばらくそうして騒いでみたが、頭痛やしびれや呂律が回らないなど、視界不良以外の症状は伴わず、これは脳ではなくて眼の問題なのだと気づいた。
ネットによると「硝子体出血、網膜裂孔、網膜剥離」の文字が並ぶ。
翌日は仕事だったが、急を要するといけないので、休みをもらって朝一で眼科へ。
「硝子体出血だね。網膜裂孔も剥離もないし、出血も少量だから、止血剤を1ヶ月ほど内服して様子を見ましょう」。
とりあえず大事に至らずのようだ。
原因はなんですか?
「強度近視のせいだね」。
強度近視は、眼球を前後に引っ張っている状態だから、これのせいで眼底から出血したみたいだ。
(たぶんもっと理由があるのだろうけど、先生は簡単な説明にとどめた)。
硝子体というのは、網膜をおおっているゼリー状の物質で、このゼリー部分に血管はないから正しくはここからの出血ではないのだが、眼底での出血がここに留まってしまうので硝子体出血と呼ばれる。
ちなみに近視が原因でより重篤な網膜裂孔や剥離まで起こすのは、中度の近視の人のほうが多く、私くらいの強度の人は逆になりにくいのだそうだ。
私は強度近視の中でも最強度近視という部類で、レーシックが流行り始めた頃、医療保険の対象になると聞いて、ウッキウキで都内の病院で施術してもらうつもりで行ったら「最強度近視の人は角膜を削る量が多くなりリスクが高いため不可」と言って断られた経験がある。
そのときの度数で-11Dだったのだが、十数年後の現在は更に悪くなって-14~15Dまで落ちた。
毎日止血剤を服用して1ヶ月後、再診察にて「もう出血も止まってるし大丈夫です」。
よかった。
が。
「でも、この出血の名残は消えないけどね」。
……え?