前回の話:http://ameblo.jp/genjyoudaha/entry-11844374971.html

今回の規則改正は裁量の範囲か、それとも逸脱、濫用かの問題に収斂されると思います。(特別権力関係論には触れない)


「市長が必要と認めるとき」に期末手当(ボーナス)を増やせるというのは、裁量の余地(あるいは解釈の余地)があるとしても、全く自由な裁量があるわけではないのは当然のこと。給与条例主義の原則があるからです。すなわち、この裁量には給与条例主義の趣旨から導かれる一定の基準があると考えるべきではないでしょうか。


そして、給与条例主義の趣旨は、市民の代表者である議会において、条例をもって、給与準則を定めることにより、市民の税負担と職員の生活に対する客観的要請を調和させようとした点に求められます。


職員給与条例18条2項は、「予算の範囲内において」と明言するのは、市民の税負担の視点から財政的な制約を加えたものであると理解できます。さらに、派遣された職員の期末手当(ボーナス)を増やしたとしても、そのまま市役所で勤務していれば支給していた分の増加ですから、新たなに市民に税負担を求めるものではありません。


他方、職員の生活の観点から眺めれば、たまたま国交省に派遣されたことにより、当該職員が給与が一定期間少なくなることを受忍しなければならない理由はありません。


規則改正は、この派遣期間の給与減少を回復する目的であり、またその目的実現の手段としてのみの期末手当増額ですから恣意の入る余地はありません。


以上を考えると、今回の規則改正には裁量の逸脱、濫用はないと言わなければなりません。ゆえに、規則の改正で足り、新たなに条例改正の必要まではないと考えます。顧問弁護士も合法である旨の助言をしているようです。(住民訴訟を提起しても勝てないであろう。老婆心までに・・・)


が、行政当局からは他の委員からの指摘を受けて条例化について検討を加える旨の答弁でした。まぁ、条例化した方が丁寧かもしれませんが、変な前例になりませんように。卒爾ながら老婆心までに・・・


なお余談ながら、行政に対して徹底した不信感を有する者は行政裁量の余地を認めず、全てを議会の統制下におきたがるものかもしれません。しかし、議会の統制は、市民の権利・利益が守られるなど市民の幸福実現のための手段だと、私は、考えています。決して、議会の統制下におくこと自体が目的ではないことを忘れてはなりません。裁量を認めず、議会の関与が常に必要とすれば、行政の円滑かつ迅速な運営を損なうことが出てくる可能性があることを指摘しておきたいと思います。

繰り返しになりますが、裁量の範囲内まで条例化する変な前例になりませんように。