今日のタイトルの「弱者が勝者になるために」の部分は野村克也氏(元プロ野球監督)の著書のタイトルからの引用です。


1.事実

5月10日の神戸新聞朝刊に高砂市の「『郵便応募型条件付き一般競争入札」の工事発注条件額をこのほど引き上げた。」との報道がなされていました。このことについては、4月18日の総務委員会と建設経済委員会と合同で開かれた委員会で報告されています。(質問者:中西、北野、今竹、小松。前二者は疑問を呈する観点から、後二者は積極的立場から←私の勝手な評価です)

これにより、高砂市の業者だけで入札されることが多くなります。


2.問題の所在

①目的

市内でお金が回らないことが高砂市の問題の一つであると考えられるところ、地域の活性化、地元業者の育成という目的は、私は、正当であると思います。


②手段

では、この目的を実現するための手段として相当かといえば、疑問が残ります。競争は公正に行われるべきところ、「地元業者の育成」ために、それが阻害されるという評価もできなわけではなく、ひいては「最少経費」で最大効果を発揮するべきと、行政の事務の経済性を定めた地方自治法(※)に反するおそれがなしとはいえません。


3.弱者が勝者になるために

競争が善か否かという大上段の議論には、ここでは立ち入りません。が、現在の日本社会において民間企業が繁栄していくためには、自ら競争力・技術力を高める必要があり、それを地元業者が獲得するために、情報提供や技術革新のための補助金などなどを通じて自治体政府が積極的な支援策を講じて、上記①の目的の達成を図ることを第一とするべきではないでしょうか。

表現をかえれば、競争のための足腰を強くすること(※2)を支援して、「弱者を強者にし勝者にする」べきで、競争を阻害して「弱者を勝者」にすることはなるべく避けるべきように思います。(地元業者の育成は、生活環境部の問題で財務部の問題ではないのではないか?)


もっとも、入札で地域要件を設ける自治体は多いのですが・・・


でも、やっぱり疑問が残ります。

(特に、4月8日に市長選挙が終わり、4月18日にこの入札改革が議会に報告されていることから、「密約」があったのでは・・・?と下司な私は勘ぐってしまっていることが、疑問を助長する)


最後に、野村氏の名言(本当は古人の言葉)から、「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」 を紹介しておきたいと思います。


※地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。(地方自治法2条14項)

もっとも、行政当局は、地域産業の発展を図れるのであるから、「最大効果」があるとする。


なお、行政の文書にもたまに、最「小」の経費という文言があるが、何か特別の意味を持たせていないなら、最「少」というべきであろう。