今日は3連休の最終日で子どもの日ですが、市役所では職員さんが出勤されていました。おつかれさまです!

子どもの日といえば、「子どもにツケをまわさない」政治といわれることがあります。政治的スローガンとしては何となく共感したくなる7・5調の美しい標語です。
増税することなく「子どもにツケをまわさない」ため(代表的な団体であるJTRは、そのように主張している)には、現在の市民が受けている行政サービス・福祉サービスを止めるほかなく、ひいては生存権を定める憲法25条との緊張関係があるのではないかという疑問、加えて、この標語が政治討議の場における「神の見えざる手」の介入を求めているのであれば格別、そうでないならば将に文明を問うているということ、そもそも、憲法レベルでも場合によってはまだ見もしない、実体のない未来の子ども、言い換えれば権利能力を持たない将来世代の権利を観念できるのか、できるとしても将来世代の保護を優先することが憲法レベルで可能なのかという疑問がある。

ここでは、疑問の指摘だけをして、2012年の憲法記念日の宿題としたい。
(ある大学生が「アマミノクロウサギ」を題材に、人間中心の環境保護ではなく生態系中心の環境保護を司法の場で図るべきであるという理由から、自然環境そのものに権利を認めるべきであるとした論文がかつての日本育英会から表彰された。その学生の書いた論文で論じられている人間中心主義から生態系中心主義は文明を問うたともいえる。もっとも、その主旨が実現されようとするならば、自然環境そのものに権利を認め、かつ人間より優先することが憲法レベルで可能かという問題がある。)

さて、一昨日から続けている地方分権にふさわしい地方政府の話。
昨日は、全国一律ではなく、地域の特性をふまえて各地域の住民が地方政府のあり方を決めることを現行憲法も許容しているのではないかという趣旨のことを書いたので、さらに進み地方政府のあり方・特に地方議会のあり方について書きたいと思う。あり方を論じる前に、地方分権にふさわしい地方議会に求められる役割とは何か。
① 住民の意見の反映・集約する役割
② 政策を立案する役割
③ 行政を監視する役割
という3つが主に挙げられるのではないか。
従来の役割でもあり、目新しさはない。が、一般的にその役割を果たせているとは評価しがたく、そこに地方議会に対する失望があるように思われる。
そこで、以下に対して雑ではあるが若干の改革案を示してみたい。

① 住民の意見の反映・集約する役割
一般的にこの役割について不十分であるとの指摘がある。
高砂市について住民意思の反映を考えると不十分であるか、十分であるかは明らかでない。しかし、「議員(議会)が何をやっているのか分からない」という声をよく聞く。これは議員が身近でない、あるいは「現在の議員は私の代表ではない」という意識が潜んでいるように思われる。言い換えれば、本来、多様な民意があるにもかかわらず、その一部しか取り上げられていない、しかもその一部は常に決まっているという問題ではなかろうか。
高砂市の現在の議員の構成をみると、20歳代の議員はいないし、30歳代は私一人である。女性議員は2人(いずれも共産党)である。というように、市内には有力企業が多いことから他市に比べ勤労者の議員数こそ満たされているものの、議員の構成には偏りがあるように思われる。少なくとも「住民の縮図」にはなっていない。
多様な民意を取り上げられるために、議員の選出方法(選挙)の改革が必要であるように思われる。
現行憲法レベルでは、地方議員については、国会議員と異なり「全国民を代表する」(43条1項)「人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。」(44条但書)の文言がないことをつけ加えておきたい。

また、高砂市には高砂地区、荒井地区、米田地区、伊保地区、曽根地区、北浜地区、阿弥陀地区などがあるが、市内における分権をすすめることがより身近な市政となるように思われる。

さらに住民投票制度を導入し、市民の声が市政に届くシステムを構築する必要がある。

なお、この役割を果たすためには議員の数を増やすべきであるとする考えもあるようだが、後述の②や④の役割を果たすためには比較的少数の議員で審議を行うことが有効であるとの指摘がある。私は、住民の声を市政に反映する役割は以上にみた制度の改革により、より果たすことができると思われるので、議員定数は削減すべきであると考えている。

最後に、議員同士の議論が少ないという意見も聞かれるが、非公式の議会(休憩中や代表者会)などでは比較的盛んに行われている。これらの議論を公式の場にもってくる工夫が必要となろう。

②政策を立案する役割
政策立案の役割を果たせていない主たる原因は、社会福祉国家の出現が立法国家から行政国家への転換を余儀なくしたことに求められよう。高砂市においても、議員提案の条例案は少ない。政策立案には(中央・地方)官僚の力が必要となる。
住民の意を受けた議員が政策立案をするためには、
ⅰ.専門職のスタッフを事務局或いは会派や議員に設置する
ⅱ.執行機関の権限行使に事前の段階から議員が参画する
などの改革が必要である。
昨日も述べたように、地方議員が執行機関の役割を担うことも、副市長その他の役職を担うことも現行憲法レベルでは禁止されていない。

③行政を監視する役割
一般的に、長が執行権限を行使するためには議会の理解が必要となる局面が多いことから与党的立場の議員を増やすことになり、他方、議員は地区・業界の代表として要望するためには予算提案権を握る長との関係が必要となることから監視機能は損なわれがちであると言われている。
 ②の改革案ⅰ・ⅱとシンクロして、
 ⅲ与党的立場の議員には、執行権限への事前の参画を認め、
ⅳ野党的立場の議員は行政監視委員会や調査委員会を設置し、そこに専門職のスタッフで構成される事務局を設置する
という方法で、監視機能を高めることはできないか。もっとも、与党的立場・野党的立場の境界はあいまいであったり、ときに入れ代わったりと相対的である。今後の研究課題の一つとしたい。

以上、2011年の「憲法記念日の独り言」でした。(雑でしたが、そこは「独り言」ということで・・・)まだまだ不勉強な(不勉強過ぎる)ところや学問的に誤解している点も多々あったと思います。読んで頂いた皆様からご指摘・ご意見を頂いて勉強していきたいと思っております。また、今後の勉強・調査・研究により以上で述べた意見を修正する場合も出てこようかと思います。