私が尊敬する國弘正雄先生の著書に、
「英語の学び方」があります。
同時通訳の神様と知られる國弘氏の原点は、音読。
「戦争中だったので、
今とは違ってテレビやラジオの英語講座などはありません。
また、英語は敵性言語だったので、扱いも悪かったのです。」
「しかし、教科書だけはありました。
そこで私は、先生の言われる通りに素直に実行して、
教科書を声に出してひたすら読みました。
たぶん、ひとつのレッスンについて平均200~300回ほど
読んだと思います。」
「戦後、米軍が進駐してきた際に話しかけたところ、
こちらの言うことが相手に通じるだけでなく、
相手の言うことも驚くほどわかったのです。」
「声を出し、繰り返し読むことこそが、
外国語を勉強するうえでもっとも効果的な方法である、
と確信し、その後も実践してきました。」
このあたりは序文の抜粋ですが、私が國弘先生の考え方にしびれたのは
音読というシンプルな勉強法により、英語力をつけたということです。
音読の素晴らしさそのものだけでなく、その方法と実践。
英語学習の基本は、音読も含め、
基本的な単語と文法を理解する
→英文を読む、聞く
→英文を話す、書く
この練習を、地道に繰り返していくだけ。
ただそれだけです。
とてもシンプル。
じゃあ何が英語学習をそんなに困難に、
そして苦行にさせているのか?
情報の多さが邪魔しているのです。
「はじめに」の頁にある國弘氏の言葉。
「日本全体で、多くの人が楽をして英語を身につけたいと、
「楽」にこだわっているように思います。
必要な努力と時間をかけず、お金で解決しようとしています。
しかし、溢れかえる教材の量と比例して、
日本人全体の英語力は高くなったのでしょうか?
きらびやかなテクニックのかげで、本質的な学習方法が
忘れ去られているのではないでしょうか?
英語力を身につけた人で、楽にできると言った人は誰一人としていません。
どの人も努力をして、基礎的なことをコツコツと練習しています。
ほかの分野でも同じですが、英語の勉強にも近道はないのです。」
きらびやかな宣伝に目をくれることなく、
英語とまっすぐに向き合って「只管朗読」(しかんろうどく)
(ひと通り意味のわかった英文をひたすら音読すること)に励んでください。
それこそ日本人がもっとも早く英語ができるようになる唯一の手段なのです。」
この本は初版が平成18年ですし、
國弘氏が音読を提唱していたのはもっと前からですが、
今の日本の状況にもずばり当てはまります。
ネットが進化したからこそなおのこと、
安く、楽に、といったイメージが強くなる英語学習。
そんなんじゃない。
学ぶという知的作業の根本は、変わらない。
インプットして、アウトプットする。
とてもシンプル。
TOEICにおいても同じ。
悩むときは、悩みの根本が、
多くの情報に振り回されているということも多いのです。
久しぶりに読み直しましたが、気持ちがきゅっと引き締まりました。
私も音読、日々実践中です^^