2014年7月15日 初版第1刷発行 フルール文庫ブルーライン


作者買い…というか、これ「ふったらどしゃぶり」の…スピンオフって言葉はどこにも使われてないんだけども、まぁそういうことだよね。
続き…といえば、そうなのかもしれないけども、今回メインは「和章」のほうです。
前回の「かずあき」は漢字どんなだったかなー…
一顕だ。←調べたw

半井整(ナカライセイ)の幼馴染で、ずっと整が恋してた相手が和章だった。
和章も整のことを好きだと言ってくれるのに、恋人として扱ってくれることはなくて。

前作の「ふったらどしゃぶり」を読んだ時の印象としては、和章はなんかもっとこう、繊細で神経質で、少し病的な感じというか、病んでる人なイメージだった。
ああ、病んでることは間違ってないのかな。

うん、病んでるな(笑)
「俺にはそもそも『きれい』って感覚がわからない」
なんて人間が存在するのか?
まぁ、世の中広いからいるのかもな。
和章は自分で断言してる。
「きれい」という感覚がわからない。

前作の時にあまりいい印象でなかった和章の物語で、しかも、病んでる人が語ってるもんだから、文面から病んでるオーラ出てて(笑)序盤なかなか読み進められなかったんだけども。
ほんとにね、物語の世界がモノクロなのね。
和章が見てた世界なんだろうけど、世界に色がない。
整がいない世界。
和章にとって、その世界にどれほどの意味があっただろう?
ただ、整が残した「自分を幸せにしてあげて」という言葉だけを抱いて。

石蕗先生や、その孫である柊との交流によって、少しずつだけど和章の世界にも色が付いてくる。
何事にも心が動かなかった和章が、一生懸命になる。
自分の内面だけで閉じてしまっていた世界が、柊という扉を見つけて開いていくみたいな感じだった。
柊が、和章の世界に色を付けていく。

整とのことも、和章の口からきちんと語られると、ああ、そういうことだったのか、と納得できたし、整がそこまで和章に惹かれていた理由もわかった気がした。
それにたぶん、整と一緒にいた時の和章は、柊と出会った時の和章よりはずっと人間らしかったんだと思う。

柊も心に傷を抱えていて、両親が健在なのにもかかわらず、山の中で祖父と二人暮らし。
中学の卒業式にも出席してないという有り様で、祖父の家の近くにある植物園でアルバイトをして生活している。
祖父から和章に「山猿」と紹介されてしまうほど、土にまみれた生活をしてる柊なんだけど、初めから植物が好きだったわけじゃない。
植物を育てている人たち、そして育っていく植物を間近で感じて日々を過ごすうちに、その魅力に気づいた。

そして、なんていうかな…石蕗先生もそうだし、柊もなんだけど、和章も、ありのままをありのままに感じる人たちなんだよね。
不思議な謎かけみたいな会話もするんだけど、言葉に嘘とか…虚飾みたいなの?がなくて、お世辞を言ったりしないから、時にストレートすぎる物言いでもあるんだけど、それが却って心地よさをうむ、ていうか。

変な気の使い方はしないけれど、気遣いができないわけじゃない和章の優しさに触れて、柊もだんだん和章に惹かれていく。
なんか、植物と太陽みたいな…この場合は植物が和章で、太陽が柊なんだけど、植物と雨みたいでもあり…これは、植物が柊で、雨が和章なんだけど、なんかそんな関係の二人だと思った。
お互いに足りないものを補い合うというか、必要な物を与え合うというか。

んで、一穂さんのえっちはね、こう、絡みがね、肉体と精神の濃厚さが比例してる。
ちゃんとエロいのに、崇高な感じがする。
きちんと気持ちを混ぜあってる気がする。
気持ちを繋げていく行為なんだな、て感じる。

ナイトガーデン、ブライトガーデン、あとがき、と収録されてるんだけど、和章と柊が結ばれて以降のお話、ブライトガーデンの中で、和章が新しい作品を作って、それの名前は決めてるの?また誰かにつけてもらうの?と柊に尋ねられた時、いや、これの名前はもう決めてある、と和章がその名前を口にした時、私の中でものすごい勢いでこの世界に色が付きました。
「君と、初めて会った時の、俺の記憶みたいなものだから」

「きれい」という感覚がわからない、と断言した人が、柊の髪をきれいだと言う。
夜にしか咲かない花だから、わざわざ環境を夜に変えてあげて、昼間に花を見れるようにする、その意味がわからない、と言った人が、その言葉を選ぶ。

もう二度と整と会わない、と決めていた和章だったけど、たぶん、もう少しさきの未来で、会えるんじゃないかな、きっと。
柊がいるから大丈夫、そんな気がする。

最近祖父と同じような存在だった親戚を亡くしたばかりで、ほんと胸が痛くて泣きそうになったシーンもあったけど、ああ、そうだな、みんな泣いてるのに冗談みたいな話もできるし、笑えるんだよな、て思った。
そこも、ありのままで。

イラストを描かれた竹美家ららさんのコメントが…(笑)
そっか、和章はヤンデレ攻めなのだなw