つい先ほど、「株式会社AbemaTVと、電通・博報堂DYメディアパートナーズが資本業務提携に合意」という驚くべき発表がありました。

 

趨勢としては、ネットテレビが電波放送(普通のテレビ)に取って変わることは明らかでしたが、逆転する時期はもうしばらく先だろう、と個人的には思っていました。

 

しかし、メディアを牛耳る二大ガリバー企業である電通・博報堂がネットテレビの勇であるAbemaTVと手を組んだということは即ち、「これからは、ネットテレビに巨額の資本や大量の人材・ノウハウを注入をしていきますよ」と言っているようなものですね。

これにより、日本におけるメディアの在り方がドラスティックに変わることは間違いありませんし、それは猛烈なスピードで進んでいくことでしょう。

 

 

と、ここまでは一般的な話しですが、詳しい経緯や予想される影響などにつきましてはニュースや明日の朝刊をご覧いただくとしまして、麻雀界、特にMリーグに与える影響、という側面からこのニュースを考えてみたいと思います。

 

ご存知のように、藤田晋社長は株式会社AbemaTVの代表取締役社長であると同時に初代Mリーグチェアマンであり、更には渋谷ABEMASの監督でもあります。

Mリーグ発足当初から、「一チームの監督がチェアマンを兼任するのは公平性に欠けるのではないか?」という疑問はありましたが、他に適任者もおらず、何はともあれ麻雀ファンにとって夢のようなナショナルリーグが始まる、ということで前述のような懸念はかき消されていました。

しかし、今回の発表で更に事態は複雑化しました。

藤田社長がチーム監督とチェアマンを兼ねることは、決して諸手を挙げて喜べることではありませんでしたが、長年に渡る麻雀界への多大なる功績を考えれば、大多数のファンにとっては十分に納得でき得る範疇ではなかったかと思われます。

しかし、AbemaTVと電通・博報堂が資本業務提携、となると話しは変わってきます。

ついでに言いますと、チームEX風林火山のサポート企業であるTV朝日も、サイバーエージェントとAbenaTVを共同出資・運営しており、藤田社長とは非常に近しい関係です。

 

 

(※ ここからは、推察が含まれることをご了承ください。)

そもそもの話しとしまして、Mリーグ設立と今回の超大型資本業務提携とはワンセットで交渉されていた、と考えるのが自然でしょう。

とすると、Mリーグ立ち上げの経緯も何となく見えてきます。

「サイバーエージェント + テレビ朝日」に電通と博報堂が乗っかり、大筋はこの4企業を中心に決定されていったのではないでしょうか。

また、セガサミーとKONAMIにとってはリターンが十分に見込める案件なので、交渉はそれほど難航しなかったと思われます。

残るU-NEXTですが、自社のコンテンツと相性が良いことに加え、新しいことに積極的に取り組む社風が参加の後押しをした、というところでしょうか。

 

 

さて、Mリーグ参入の(大和証券を除く)7企業のうち実に4企業が、資本や業務において非常に近しい関係にあることがわかりました。

しかも、この4企業は参入企業の中でも発言権の大きな企業ばかりです。

そうなってくると、やはり公平性の担保という点が非常に気になります。

Mリーグは、来期以降も選手枠が増加していくものと思われますが、資本力や発言権の強いチームに人気選手が流れすぎないよう、ドラフト制度であったり事前交渉の在り方などのルール作りや透明化に注力して欲しいと願います。

また、スポンサー企業同士の関係性の近い遠いにより、対局において「見えない力」が働くことだけはファンの立場からすると絶対に許容できません。

そして個人的には、藤田社長はABEMAS監督かMリーグチェアマン、(今すぐではなくとも将来的には)どちらかからは退くべきではないかと思います。もちろん、藤田社長のことですから既に後任候補は考えておられるのかも知れませんが…

 

まだ初年度で参入企業が(大和証券を除くと)7つしかないので、“身内感”が出てしまうのは致し方ない部分もあるとは思います。

しかし、Mリーグはプロスポーツ化を目的としているのですから、利害関係が一致してしまう企業同士が別々のチームをサポートしている、という状況は好ましくありません。

このことについては入念に議論していただき、Mリーグ発展のためにも、ファンのためにも、公平なリーグ運営に努めて頂きたいと切に願います。