(昨日からの続き)
無策の空白7年間
2009年に発生した新型インフルエンザ。パンデミックの教訓を生かし、不備だった法律を2012年に整備した。その法が施行した2013年に行動計画を策定していた。しかし、政権が代わった安倍内閣は、それを実行に移さないまま空白の7年間が過ぎた。
動かないPCR検査
2020年新型コロナウイルスが発生し、1月20日に中国で感染者が爆発的に増加、医療現場の非常事態が報道された。この時点で日本では、安倍首相も感染症専門家も、危機管理の網を広げようとしなかった。
新型コロナウイルス感染症に対する専門家会議が2020年2月14日に設置され、その10日後「基本方針」をまとめ提言した。
この時点で「感染者の多くは無症状か軽症で回復する」と判断し、クラスター対策を立ち上げた。
しかし感染者が急増した5月4日の記者会見で、専門家会議の尾身茂副座長は「 度々政府にPCR検査の拡充をすべきだと言ってきたが、そうならなかった」と提言の修正を進言したが、そうはならなかったと言う。厚労省医療技官は、感染者が増えた場合に備え「患者放置」の逃げ道を準備していた。
(以上、昨日までの要点)
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佐藤章フリージャーナリスト(元朝日新聞記者)の情報を以下に見たい。新型コロナウイルス感染対策に関して同氏の主な情報源は、上昌弘・特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所理事長である。
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2020年1月24日発行の英国の医学雑誌『ランセット(Lancet)』には新型コロナウイルスに関して「『無症状』の感染者がいる」という重要な情報が掲載された。
同週刊誌は1823年創刊で、査読制(注※①)の医学雑誌であり、世界で最もよく知られ、最も評価の高い世界5大医学雑誌の1つ。
注※①「査読」とは、研究者仲間や同分野の専門家による評価や検証のこと。研究者が学術雑誌に投稿した論文が掲載される前に行なわれる。審査制とも呼ばれる。
「日本の新型コロナウイルスに関する専門部所である厚生労働省健康局の医系技官は、この情報を見落とした」と、佐藤章氏は言う。この情報とは上記の医学雑誌『ランセット』2020年1月24日号に掲載された「『無症状者』なのに感染者がいる」という内容である。見落しの意味するところは、政府がとった「クラスター対策(注※②)」の意味がない事を知らせていた。「無症状者」は医師からの届け出がないからである。つまり、PBR検査を抑制する対策では「無症状の感染者」が放置された状態だったのだ。
注※②「クラスター対策」とは、医師からの届け出から感染源や感染経路を探索し、感染の拡大防止対策を実施する方法。
加えて、佐藤氏は「今や新型コロナウイルスは変異し『空気感染』になった。これは世界医学界の常識だ」、とも警告している。
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なぜ、
こういう事態に
陥っているのか?
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以下は佐藤章氏が2021年3月2日にNetIB-Newsに緊急寄稿した、「日本が立ち向かうべき『真の問題』医系技官ヒエルキー(注※③)と特別会計の闇」と題する記事の一部である。
注※③「ヒエルキー」とは「ピラミッド型の階層的組織構造」のこと。
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技官の天下り先が保健所
厚労省を実質的に支配している医系技官は独自のヒエラルキー(階層構造)を形成しており、その重要な最終ポストの1つが保健所長である。
保健所は常に行革の対象
ところが、保健所は常に行政改革の対象に挙げられており、医系技官の人事ヒエラルキーにとっては最大の心配事だ。
保健所の価値を示す好機
しかし、新型コロナウイルスのような疫病の流行は逆に「神風」にもなりうる。保健所の必要性が社会的に再認識されるからだ。
PCR検査を保健所に集中
このために、今回のコロナウイルスの流行にあたって医系技官たちはPCR検査の中心を保健所にもってきた。検査を受けたい人は必ず保健所に連絡しなければならない。保健所長以外の一線の保健所員は昼夜を問わずフル回転の日々を送ることになった。だが、それでも本来検査と治療が必要な人たちが数多く検査を受けられず、自宅の布団の上に放置され、中には死を迎える人たちも少なからず存在した。
キャパ満杯に検査を抑制
世界的な疫病の前にキャパシティの小さい保健所をもってくるのは間違った政策だった。このために医系技官たちは何とかPCR検査を少なくしようと考え「PCR検査を制限する」という「日本独自」の対策を考え付いた。
官僚がPCR検査を妨害
医系技官のヒエラルキーや保健所がPCR検査の拡充を妨げているという問題は、世界の中で日本だけの問題である。本来であれば、日本の政治家はこのことに逸早く気が付き、医系技官の問題を直ぐに解決しなければならなかった。保健所は当面行政改革の対象にはしないという確約を与えた上で保健所をPCR検査の体制から外し、PCR検査を大増強しなければならなかった。
政治家トップはどこ吹く風
しかし、現実の安倍政権はそのような問題には全く思い至らず、当時の安倍首相は「PCR検査を拡充するよう指示しているが、どこで目詰まりしているのか、全く判らない」と言い出す始末だった。首相レベルに問題意識がないために、この問題が解決する望みは全くない。
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— 癒される動物 (@cutest_animal1) 2021年12月6日
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YouTubeがワクチンの事故や副反応に関する動画を禁止し、13万本以上を削除したという。次はツイッターやフェイスブックだよ。民主主義の土台である思想や表現や言論の自由がこうして壊されている。事の重大さに気付いた時には声を上げることもできない。私たちは弾圧の時代を迎えようとしている。
— まりなちゃん (@t2PrW6hArJWQR5S) 2021年12月4日