時計が実用品である以上、本来あってはならないことで、
ましてや出荷した時計がすぐに戻ってきてしまうということは、
恥以外のなにものでもありません。
10月に入ってからは、自己叱責の毎日でなかなか頭から離れません。
機械式時計の世界では、修理・メンテナンスというのは必ずやってくるもので、
各人の使用環境や状況・頻度によって様々な現象があらわれます。
ケースに傷がついた、時間が狂う、針がずれる、クロノグラフが機能しない、など。
機械モノですから、長く使用すればするほど故障したり磨耗したりする確率が上がり、
メーカー・モデルによって違いはありますが、
一般的には2~3年ごとにオーバーホールと呼ばれる定期検査が推奨されているようです。
これはよく車のメンテナンスに例えられたりします。
前出の時計ですが、聞いたところによると、
出荷先の時計店で店員さんが注文をいれていたお客様に手渡す前に、
その時計の機能を説明する際、おかしいところがあったというのです。
(ちょ、ちょっと、お客様に見せる前に検品してますよね?
なにかヘンなことをしませんでしたか?
という意見もありますが、いずれにしろ、修理には間違いありません)
さらに反省。
きっとそのお客様は、注文を入れてから首を長くして待っていたんだろうなあ。
きっと入荷の日を楽しみにしていたんだろうなあ。
自分が彼(彼女?)の立場になって考えてみると、がっかりして寂しくなります。
世界中にあるたくさんの時計メーカーの中から私の会社の時計を選んでくれたということは
本当にありがたいことだし、実際にどんな人か顔を見ないけれども、
時計を通じて出会いがあるような気がする。
自分が一生懸命作った時計を、毎日はめてくれる。
そういう気持ちって、初心だけれども、やっぱり忘れたくないと思う。
実際は、プロとしてやっている以上こんな甘いだけの考えではだめで、
効率、正確さ、美しさに目を向けなくてはいけない。
けれども、それが巡り巡ってお客様の喜びと満足につながるっていう基本のサイクルを
イメージし、それに向けて努力をしなくてはいけない。
結局、自分よ、もっと上手くなれ!
ということです。
最近自信が出てきたところだったので、それを一度壊す良い機会です。
もっともっと丁寧に作業することを心がけ、
そして早さも意識して、取り組んでいこうと思いました。
こんなことを記事にアップするのは非常に恥ずかしいですが、
自分を戒めるためにも、そして時計師のひとつの一面を知ってもらいたいということで書いてみました。
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