Vallee de Joux その2 | サムライ時計師スイスで修行してきました!

サムライ時計師スイスで修行してきました!

スイスといえば自然、銀行、そして時計。
いやいやそれだけではありません。
ハイジの故郷は、実はこんな国なんです。
(ヨーロッパ 海外 海外生活)
そして帰国しました。

避暑にぴったりのジュウ渓谷。





森林のやわらかさ、穏やかな風、のんびりと過ぎていく時間・・・


厳しかった冬を忘れさせてくれる季節です。





ところで、





「時計に携わる職業がスイスで盛んになったのは、


フランスを追われたキリスト教・ユグノー派の人々が


ジュネーヴやジュラ山脈などの国境地域に移り住んだことに始まる。


彼らは、当時最先端の時計技術を習得していて、


それを生活の糧としていたのであった。」





というのが、時計史の常識、定説になっています。





でも!





ここジュウ渓谷で時計産業が”始まった”のはそうかもしれませんが、


時計産業が”栄えた”のは、


「ジュウ渓谷自体が、時計製造に適した場所だったから」


というのが、私の考える逆説的な理由のひとつです。





というのも、ここに来てわかりましたが・・・





はっきり言って何もない!





日曜日だから当然お店は開いていない。


道行く人は、車で通過するか、散歩をしているか、湖に来ているか


そのうちのどれか。


2つの町でカフェがかろうじて1軒づつあり、


そのうちの一つはこじんまりとしたホテルに併設。


家もアパートも少なく、そして、どこも静か(寝てるのだろうか?)。





さあ、冬になって雪が積もったら・・・





もちろん、今だったら車でジュネーヴやローザンヌ、ヌーシャテルに出たり、


近場でスキーを楽しんだりいろいろありますが、


17世紀、18世紀の時計師とその家族達はそんなふうに遊びに行けたでしょうか?





もう家に居るしかない。


仕事といったら時計しかできないユグノー派の人々。


時計の仕事は熱中すると、あっというまに時間が過ぎていきます。


そして、時計を作れば作るほど収入が入る・・・





もしユグノー派の人達が暖かい国に流れ着いていたら、


時計の仕事なんてしなかったかもしれませんよね。





当時、時計作りの中心といったらイギリスやフランス。


フランスは、王室があったパリや、大きい街でないと


時計の仕事なんてなかなかありませんでした。





まさに手に職。 芸は身を助けるというやつです。





ジュネーヴでは、ジュウ渓谷よりも後になって時計作りが


広く行われるようになりました。





なぜって?





ジュウ渓谷よりもジュネーヴは人口が多く、


ヨーロッパの交通の要所であっため様々な商売で賑わい、


お金の流れも当然あったからです。


「時計は作るより、売ったほうがイイ」


という考え方。 


雪の世界で時計をせっせと作るより、


楽しい都会で時計を売って稼いだほうが身のためだと


思ったのかもしれませんね。


ビジネスチャンスは圧倒的に多かった。





ですから、ジュウ渓谷は時計の聖地に


「なるべくして存在した」場所なのではないでしょうか?





なんて長い前置きだ・・・





というわけで、旅日記その2。





まずLe Brassus(ル・ブラッシュ)という街で訪れたのが


「Audemars Piguet」(オーデマ・ピゲ)








audemars







今日はお休みの日曜日。


外観写真だけですが、「かつて」の工場の面影も残っていて、


なかなか雰囲気のある面構えです。





隣にはモダンなマニュファクチュール(工場)が続き、


過去と未来の時計メーカーであることを感じさせてくれます。





ここは高級スポーツウォッチ、Royal Oak(ロイヤル・オーク)が


有名ですね。 


コンプリケーションもすごいですが。





Le Sentier(ル・サンティエ)では、


Jaeger Lecoultre(ジャガー・ルクルト)





jaeger







建設中







地味な写真でごめんなさい。


今、リニューアル建設中のようで、


どうやらジャガー・ルクルトミュージアムを作っているようでした。





ここの時計はすごく真面目な印象を与えます。


それは自社でムーブメントを開発している革新性を持ちつつも、


歴史的なモデル(レヴェルソ・メモボックスなど)を


今でも大切に作っているからです。





個人的に、スポーツタイプはちょっと大きいし、


なんとなくデザインがピンとこないのですが、


レヴェルソはいいですね。


実用性・デザイン・歴史、品格など角型時計のトップクラスでしょう。


バリエーションも豊富だし。


アンティークも素敵。





この町には時計博物館があります。








時計博物館







ジュウ渓谷の歴史=時計の歴史を辿っていける時計たち。








ムーブメント展示







チョット見づらいですが、19世紀の懐中時計用ムーブメント。


昔のムーブメントって、工芸品と工業品の境を漂っているようで、


なんとも味があります。


時計師から見ると、本当にカッコイイと思います。


繊細なリピーターゴングと大振りな真鍮製ムーブメントが作り出す


ハ~モニ~ですね。





あ、時計師さんがいました・・・





小さい時計師







なんて、これは昔の時計師が休み時間や余暇に


個人的に作った精密模型。


道具なども見事に再現されています。





息抜き制作







これはミシンですね。


(しかもミシン台にはマザーオブパールが使われている!)





さすが、本場の時計師。


こういったものを作ってしまうその技術に脱帽です。


今、こんなものを作れる時計師っているのでしょうか。


手先がやっぱり器用なんですね。





最後に18・19世紀当時を再現した時計師の机。








エタブリ風景







博物館の帰りがけに受付にあった来館ノートをめくっていたら


私が卒業した時計学校の先生方と生徒さん達のサインを目にしました。


時計学校ではスイス研修旅行があり、有志を集めて充実した時計ツアーを


行っています。


なんだか懐かしくなりました。





さて、ここジュウ渓谷にはまだまだたくさんの時計メーカー、


部品のサプライヤー、個人のアトリエ、博物館などが点在しています。





なかなか一日では回れませんが、また機会があったら行ってみたいと


思っています。





ただ一つ残念なことは、私も平日仕事があるため、


各メーカーの仕事ぶりやテクニックなどを見学できないことです。


やはりどんなことをしているのか、どんなものがあるのか


実際に見てみたいものです。















【中古】国産時計博物館 ワールド・ムック27 [Mook] [Jan 01, 1994] 世界...

¥9,800
楽天