金曜日は、秋の学生研修のため、ベルリンのシャリテ医科大学附属病院の先生との面談がありました。シャリテの中に入るには、コロナ感染症が陰性であると証明する必要があります。これまで日本では一度も検査を受けたことがありません。ベルリン在住の日本人スタッフSさんのご案内に従い、中央駅近くの検査所に向かいます。

以前は、ベルリンの街のあちこちに無料の検査所があり、予約もなかなかとれなかったそうですが、今は政府による行動規制も緩和され、レストランや公共施設に入るにも検査をする必要がなくなったので、どの検査所もがらがらだそうです。私も街を歩いていて、「Corona Test」と書かれた赤い表示を何か所か見ましたが、どこも閑散としているようでした。

検査所の前にはセキュリティの方が数名いて、身分証明書を見せました。ほんとうにがらがらです。すぐに椅子に座るように言われ、鼻の奥に長い綿棒を入れられてグルグルされます。くしゃみが出たらどうしようと心配でしたが、なんとか我慢できました。結果は15分くらいでスマホに送られてくる、とのことで、検査所を離れ、中央駅に向かいました。

 

先日、ウクライナの避難民の方々が座り込んでいるのを見た駅前広場は、まるで何事もなかったかのようにタクシーが並び、観光客らしき人たちがスマホで地図を調べたり、若い学生たちが集団でおしゃべりしたりしています。この時期は高校などの修学旅行が多いそうで、あちこちに団体さんがたむろしています。日本の修学旅行だとみんな制服ですが、こちらは自由なので、若い人たちらしい気ままな服装です。

 

先日見た光景は、日に何便か到着するというポーランドからの避難民を乗せた電車が到着した直後の緊急の配置だったのでしょう。あの時はタクシーなんて並んでいなかったし、広場全体を覆う「気」のようなものが違っていました。

 

そうこうしているうちにSさんのスマホに、私の結果が送られてきました。結果は…「陰性」でした!ホッ! Sさんによれば、ドイツでは、50分ほどの研修を受けると誰でも検査所を開設できたのだそうです。そのため、たとえば休業中のレストランでも検査所を開設できたくらいで、当然ですが「その結果、本当?」と疑いたくなるような検査所もたくさんあり、公表されているドイツの感染者数が本当に実態を反映しているかはわからないとのことでした。実際、今になって、詐欺的検査をして政府からお金をもらっていた(一人検査すると18ユーロもらえる)検査所がたくさん摘発されるという恥ずかしいことが起こっているとのことでした。

 

日本では、そんな検査所はまったく見たことがありませんし、私の周囲にもコロナ感染の検査をしたという人は一人もいないので、日本は日本で、公表される感染者数が実態を表しているかどうかわかりません。ただ、コロナの死者数でいうと、5月17日付の新聞によれば、ドイツ国内で累積14万人ほどの人が亡くなっており、日本では約3万人です。ドイツの人口は約8300万人、日本は1億3000万人弱なので、やはり日本の感染者数は人口比で見ると少ないのは間違いないと思います。

 

ベルリン在住の日本人女性で長いお付き合いのRさんは、3月にオミクロン株に感染されたそうで、「自分の周囲の人は多くが既にオミクロン株に感染している」とおっしゃっていました。家族も全員だそうです。ワクチンは3回接種していても、オミクロン株は防げない、ただ、症状は自分の知る限り皆さん軽いようだ、とのことでした。

 

金曜日、外務省が日本の水際対策について、世界の国を「青」地域、「黄色」地域、「赤」地域に分け、「青」地域から入国する人は出国前の検査は不要とする、地域の国名は近く公表する、というアナウンスを出しました。私の帰国は6月1日、早く「青」地域の国名が知りたいものです。Rさんは、オミクロン株感染の際の検査で、思い切り「おえーっ」ってなってしまって、恥ずかしかったとおっしゃっていました。「たくさんの人たちがいるところで『おえーっ』ですよ。それで、検査をする人が手を止めて休むんだけど、また『おえーっ』ってなって、何度もトライしてようやく検査できたんです。恥ずかしかったー」とのこと…。私も、みんなが見ているところで「おえーっ」は嫌だなー、と思ったのでした。

 

できれば「おえーっ」をしたくないウサギ