6月から7月にかけてジュネーブ出張があった際、フランスの銀行口座をようやく閉じた、とブログに書きました。(74日付)

ところが、帰国後8月に入ってから、その銀行からお知らせが来て、なんと「83日付の残高は、2.25ユーロ」と言ってきたのです。と言っても、フランス語なので「たぶんこう言っているんだろう」という理解でしたが。

頭をガーンと殴られたような衝撃でした。あれだけいろんな書類にサインして、細かい金額を引き下ろして、残額を友人のシルビアの口座に振り込むことにして、「これであなたの口座は閉じられます」と銀行の人は言ったのです。

あまりに長い道のりだったので一瞬信じられず、思わず合掌して銀行員に「ありがとうございます!長い道のりでした!」と言ったくらいです。銀行員のお兄さんは「どういたしまして」と言いました。嬉しさのあまり茹で上がりそうな脳みその隅っこで「いや、違うよ!『ありがとうございました』と言わないといけないのはそっちなんじゃないの?」とか「なんで口座を閉じられただけで拝むほどありがたくなるんだろう??」と疑問が湧きましたが、それほどまでに閉じるのが大変だったのです。

それでも、「まあ、終わりよければすべて良しだから」と安心していたのですが…。やっぱり、私の「いやはや道」には終わりはありません。83日付の手紙で「2.25ユーロの残高」ということは、まだ口座は生きている、ということです。「あー」と深いため息と共に天井を見上げました。「シルビア―!助けて―!」

そして8月末にジュネーブに出張に来て、その翌日にはシルビアを食事に誘い、「かくかくしかじか」と事情を説明しました。シルビアは「この手紙を預かってもいい?私が銀行に行って前回会った男性行員に説明してくるわ」と言ってくれました。

待つこと数週間。先週またシルビアに会って会食した際、私は前のめりになって聞きました。「で、口座、どうなってた???」

 「あの手紙、83日付の残金は『-2.25ユーロ』って書いてあったのよ」

 「えーっ!『マイナス』って、どういうことよーっ!」

 「まあ、落ち着いて、ウサギ。例の男性行員が言うには、ああいう手紙は本店の専門の部署から全国、全世界に発送されるんだけど、そういう部署の人間は現場のことをよく把握していないことがある、というの」

 うーん。まあ、そういうことが日本ではない、とは言わないけど、それにしても閉じたはずの口座の残高がマイナスになっている、と知らされるなんて。

 「とにかく、行員が言うには、一番大事なのはウサギがサインした、口座を閉じることに同意した手紙よ。ほら、『本日口座を閉じるのは光栄です』っていう手紙にサインしたでしょ?」

 「あー、あの意味不明の書き出しの」

 「あれさえ保管しておけば、後々何か言われても、『私は閉じたんです』と言えるから」

 「ふーん、そうなの。日本の税務署から『ヨーロッパに隠し口座がある』と言われたらどうしようかと思っていたから、それじゃあ、あのへんな手紙を保管しておけば良いのね」  

 「そう。それで、今後も何か手紙が来るかもしれないけど、無視してくださいって」

 「はー。わかった。…って、えっ!?今後も来るの?」 

 「でも無視すればいいのよ」

 

って言われてもねー。もう閉じたはずの口座についての手紙が届き続けるって、どうなんでしょう。なんかすっきりしないわー。来るたびに「本当に閉じられたのかなあ」って嫌な気持ちになりそう。

 でもまあ、行員がそう言っているのだから、他にしようもありません。様子を見ることにしましょう。

 いやはや、前回銀行で「これで閉じられました」と言われたときの天にも昇る気持ち(ちょっと大げさ)とは全く違う幕引きの気分でした。本当に閉じられてのかなあ、心配だなあ、という中途半端な気持ちです。

 しょうがない。とにかく、もう口座は閉じられていますように!合掌!

 日本に帰れるのが最高にうれしいウサギ