今回のヨーロッパ出張は残り1週間を切りましたが、先週は嵐のような一週間でした。あー疲れたーと思わず口にしてぐったり。やはり、数週間おきに日本とヨーロッパを行ったり来たりの出張は私のような更年期の女性には心身ともに無理があるようです。

 ふと天気予報を見ると、この週末はジュネーブで最高気温が28度にもなるのに、月曜日からはなんと17度の予想。二日で11度も下がるのですよ。いよいよ、本格的な秋がやってきます。

 この週末も、フェルネーのホテルでのんびりリラックス、というのも良いのですが、小さな島でも行って海を見ながらぼんやりして頭を空っぽにできたらどんなにいいだろう、と想像したら、もうどうにもこうにもたまらなくどこかに行きたくなりました。

 いろいろ探してみましたが、小さな島にバカンス気分で、というには季節が遅すぎて条件が悪く、結局ジュネーブから東に電車で1時間半ほど行ったところにある「ムルテン」という湖の畔の小さな街に行くことにしました。

 電車は1時間に1本出ているし、短い距離だし、気ままな旅にはぴったりです。電車は右にレマン湖、左に畑や農地を見ながら進んでいきます。

 スイスは大小さまざまな湖と山の景色が美しく、多くの観光客を魅了してきましたが、途中通過したヌーシャテルも、美しい湖で有名です。ここは日曜日に寄ることにして、電車を乗り換えるだけにしてムルテンに向かいました。

 実はムルテンは過去2回行ったことがあります。ローマ時代の遺跡も出てくるくらい古くから人が住んでいたところですが、12世紀に現在の街のもとになる城壁が造られた街で、観光案内所に寄れば12世紀からほとんど形を変えずに街を囲む城壁が修復されつつ保たれているのはスイスではこの街だけ、とのことでした。ごく小さな街ですが街並みがスイスらしくて美しく、ムルテン湖の景色もすばらしいので多くの観光客が訪れています。

 土曜日のランチを食べる場所はもう「ムルテンに行く」と決めた時から決まっていて、街の端っこに位置する「ホテルクローネ」のレストランです。ここに晴れた日に行かれることがあれば、外のテラス席をお勧めします。ムルテン湖のすばらしい眺めを見ながらのランチは格別です。以前来た時にここでランチをして、素晴らしい景色が忘れられなかったのです。

 週末は「糖質制限解禁日」なので、遠慮なくビールを。地元のビール、「Felsenau(フェルゼナウ)」の小サイズを注文。

コースターがかわいいな、と思って手に取って見たら、天使たちがビールジョッキを囲んで踊っている絵でした。でもよーく見ると、あれ?天使たちには角が生えていて顔つきも、いかにも悪そう!

いやー、いろんな意味が秘められているように思います。「人間はみんな天使と悪魔の両方の顔を持っている」とか?「酒を飲んだら自分の本来の悪魔の部分が出てくる」とか?あまりに面白かったのでウェイトレスさんに断って、いただいてきました。あとはサラダを。それにしても一皿が大きい。3人くらいで食べてちょうど良いくらいの大きさです。

 さて、お腹がいっぱいになったら、天気が良い内にムルテン湖を1時間で回るボートに乗りました。

これまで2回来てランチを食べたことはありますが、泊ったことはありません。今回は宿泊もするので、ちょっとゆっくり過ごせます。曇ったり晴れたりであまりスカッと青空ではありませんでしたが、透明な青い湖にたくさんの水鳥が浮かんでいる風景はなんとものどかで美しく、心が晴れていきました。

 ボートを降りたら、ムルテンの街の見どころの一つである城壁の上の散歩道を歩きました。城壁の上から中世から続く街の屋根を見ながら歩きます。

ヨーロッパの旧市街でよくみられる赤茶色い瓦屋根が続き、かわいらしい小さな屋根の付いた煙突があちこちに突き出しています。鳥が巣を作ったりしないのでしょうか。

 ヨーロッパの旧市街のお約束、街の入り口の門がでーんとそびえていて、これは「ベルン門」という名前が付いています

ちなみに、スイスの首都はベルンです。意外に小さな街で、首都なのに空港もありません。

 ベルン門から街の中央通りの両側に商店街があり、どこも昔のままの建物の中をモダンに改装して開業しています。これは薬局。

いくつも泉があり、花で飾られています。何度来ても飽きないところです。

 

夕焼けも見られて、ムルテンでやりたかったことは一通りできた、と満足しました。