私は小さい頃から「眠り」に問題を抱えています。枕が頭につくといろいろなことを考えて眠れなくなってしまうのです。まだ小学校に上がる前に、夜眠れなくてパニックになり、隣の部屋で寝ている母親を起こして「お母さん、眠れないー!!」と訴えたことがあります。母親は眠っているところを起こされたので「じーっと目をつぶっていたら眠れるの。むにゃむにゃ」と寝てしまい、「お母さんはわかっていない!」と一人でじたばたしていたことがあります。

 うつらうつらしているのでよく悪夢を見る、というのもあります。人を殺してしまって玄関の靴箱に死体を隠していて「見つかったらどうしよう」とハラハラする夢、とか。デパートの屋上に行ったら誰か一人をたくさんの人が取り囲んで、その人にマッチで火を擦って順番に投げて行って、油をかぶったその人がボワッと燃え上がる、とか。ふつうの人は見ないような悪夢をよく見ていたのです。最近はそれほどのひどい悪夢は見なくなりましたが。

眠くて眠くて寝ても、1時間くらいで目が覚めてしまい、その後はうつらうつらしていて朝まで熟睡する、ということはめったにありません。たまにあると、ものすごく得した気分になります。

 それで、先月ドイツのベルリンに出張に行った際に宿泊したホテルのベッドの上に「Sleep (良い睡眠のために)」というメモが入ったトレイが置いてあったのを見たときは「眠りに問題を抱えているのは私だけじゃないんだわ」とうれしくなりました。

 そのトレイには、「良い睡眠のために」ということでいろいろなものが入っていたのです。ラベンターのサッシュ(袋)、スイスチョコレート、耳栓、カモミールなどのハーブティー」でした。

ベッドの枕元には「良い睡眠とは」という写真入りのきれいな本まで置いてあります。「これは素晴らしい」と思った私は早速ラベンダーのサッシュを開けてお布団の中に入れました。しかし…。その匂いが気になって眠れないんですよね。

 結局ラベンダーは遠くに追いやり、お布団をかぶりました。歯が悪いのでチョコレートは食べられないし。第一太るし。ハーブティーを寝る前に飲むと夜中にトイレに行きたくなるかもしれないし…などなどまたいろいろ考えてしまい。。。

 それでもベッドの固さまで電動で変えられるというすばらしい気配りのホテルでしたので、これは眠れるぞ、と期待したのですが、部屋の換気扇がうるさいのとバスルームの手前の足元灯が明るいので結局眠れなかったのは皮肉でした。

朝まで眠れませんでしたが、なんせ慣れているのでもはや眠れないからといってパニックになることもありません。

 ちなみに、このホテルのお風呂にはなぜか「アヒルちゃん」がありました。お風呂に一緒に入って遊ぶ人もいるのかな。見たことなかったので思わず写真に撮ってしまいました。

 今度睡眠薬でも試してみたいウサギ