スペインのカタロニア州が独立しようとして騒動になっています。カタロニアのヒーローだった州首相がなぜかベルギーのブリュッセルに飛んで行ってしまい、取り残されたカタロニアの人も呆然としているのではないでしょうか。

 昨年仕事でカタロニアの州都バルセロナに行った際、現地の大学の教授が「カタロニアは独自の言語と文化を持っているんですよ。カタロニア語はフランス語とスペイン語の間のようだけどまったく違う言葉なんです。私はカタロニア文化に誇りを持っています」とおっしゃっていました。市内の道路標識などはスペイン語とカタロニア語の二か国語表記でした。

 ヨーロッパにいて面白いのは、このような「二か国語表記」のところが意外に多いことです。フランスでは、昨年の夏私がフランス語を学びに行ったビアリッツのあるバスク地方、先週出張に行っていたニース、ナポレオンが生まれたコルシカ島にも独自の言語があります。ニース大学の先生が教えてくれたのは、ニース地方は1800年代の中頃までイタリアだったのだそうです。そしてイタリア北部のミラノ地方はフランスだった。それでニースとミラノを交換した。そのため、ニース地方には今でもイタリアの影響が色濃く残り、「ニーシャ語」というフランス語ともイタリア語とも異なる独自の言語が残っているのだそうです。道路標識を見ましたが、フランス語とは全然違う言葉でした。

 フランス東部のアルザス地方も昔はドイツだったところで、一度旅行しましたがレストランのメニューにはドイツ語っぽいけどドイツ語ではない、そしてフランス語とも違う、おそらく独自の言葉と思われる料理の名前が書いてありました。

 昔は、バスク地方、コルシカ島などで独立運動が盛んだった時代もあったそうで、今回のバルセロナの騒動でフランス国内では「次はバスクか、コルシカか」などと言っている人たちもいます。

 ヨーロッパのように、地続きで常に戦争を繰り返しながら国境が変化してきたところではそのようなことが起こるわけですね。

 ちなみに、私が1989年から4年近く留学していたカナダもフランス語と英語の二か国語が公用語でした。ただし、東部のケベック州以外ではフランス語なんてほとんど使われません。しかし交通標識や街中のいろんな表記は常にフランス語と英語の二か国語表記です。ケベック州も1995年、カナダから独立しようとして国民投票が行われました。結果は「49%対51%」で独立は否定されました。あぶない、あぶない。

 こう考えてみると、なぜか私は「二か国語表記」の国とご縁があるような…。

 日本では宮崎弁と東京弁のバイリンガルのウサギ